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不定期宇宙船 No.5

片桐 哲


 
 光陰、ロケットのごとし(歳のせい?)。また星群祭の時期になりましたね。

 新幹線と比べれば料金は半額以下になるというので、一昨年初めて星群祭終了後の帰宅の足を深夜バスにしてみた。それまでは往復とも新幹線を使っていたから、終了後の宴会に出席できずにいたが、それでは少し寂しいということで、23時過ぎに京都駅前を出発する深夜バスを試してみたわけである。
 乗ってみたらそれほど身体にきついわけでもなかったので、去年は往復とも深夜バスにした。しかし復路はいいとして、往路は星群祭前日の早朝、京都駅に着いてしまう。合宿のチェックインの時間まで、八時間くらい暇をつぶさなければならないこととなる。
 たまたま去年の日程は祇園祭と重なったので、午後まで山鉾見物をし、時間は有効に使えてしかも楽しかった。暑かったけど。
 今年はそういうイベントがない。時間をつぶす方策をたてなければならないが、いまのところ、とりあえず駅前でチャリンコを借りて、京の町を探索してみようかと考えている。ただし天気予報が今年も猛暑を予想しているので、もしも倒れそうなほどの暑さだったら、そんなことはしていられない。
 その場合は喫茶店や映画館という冷房のきいた場所で時間をつぶすという手もあるが、金はかかる。ただで冷房のきいた施設はと考えたら、公立の図書館というものがあった。いいアイデアかもしれない。死にそうなほど暑かったら、駅周辺の市立図書館に逃げ込み、本を読んで時間をつぶそうか。
 そう思ってはみたが、いったい京都駅周辺に市立図書館などあるのかいな?
 昔だったら、遠隔地にある駅周辺の公立図書館の場所を探すなどということは、結構な手間暇がかかったと思われるが、いまやインターネットがあり、Googleがある。この文章を書いているディスプレイ上のワープロソフトはそのままに、Firefoxを起動し、Googleにログインすれば、パーソナライズされた片桐哲のページが表示される。
 そのページにあるGoogleマップに「京都」と打ち込めばたちどころに京都駅周辺の地図が現れ、「図書館」と打ち込めばすかさず一万二千八百七十九件(爆)の図書館情報が示される。まあ、必要なのは上位の十件くらいなので、残りの一万二千余の情報が何なのかは分からない。
 一番目が南区、二番目が下京区、五番目が東山区の市立図書館である。リンクも張られているので、休館日も開館時間も分かる。もちろん貸しチャリ屋の場所も値段も分かるし、そもそも深夜バスの予約だって同じディスプレイ上で済んでしまったわけだ。
 まったく、何という便利な時代になったものか。いまどきの若いもんには当たり前の事態なんだろうけれど、パソコンやケータイどころか、テレビさえない世界を知っているオジサンの眼は点になっちゃうよ。ITの衝撃はメガテン爆弾……。
 いまだにこの便利さが只同然(GoogleのGmailの容量は2.5GBもあるのに無料だ)で提供されているということに納得できないボクなのだが。いつか脚元をすくわれるのではないか、という思いは杞憂だろうか。合宿でみんなに訊いてみよ。

 では、星群祭でお会いしましょう。
 

(2007.7.1)

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