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不定期宇宙船 No.7

片桐 哲



『地球温暖化対策』

 省エネといえば、自家用車を持たないことに決めてから何年も経つので、ガソリン値上げのニュースを聞いても何も感じません。まあ、車を運転しながら地球温暖化の心配をしてもはじまらない……。

 現在、原稿執筆で使用しているパソコンは、騒音を発生させないことを第一に考え組み立てたものです。書斎がうるさくては集中できない、というわけで。
 パソコンの一番の騒音源は空冷用のファンで、デスクトップパソコンでは普通、CPUファン、電源ファン、ケースファン(マザーボードやビデオボード、ハードディスク用にファンが付く場合もあります)が付いています。発熱の多いパソコンではこれらが高速回転するので、かなり耳障りな風切音を出します。騒音を抑えるにはファンを低速回転させる必要があり、そのためには最初から発熱の少ない部品を選んで組み合わせることになります。すると自然に省エネパソコンができあがりました。それぞれの部品の消費電力が減ったおかげで、激安(3,980円)の400ワット電源でも充分余裕があります。
 実は去年まで、高性能のCPUを搭載して低騒音のパソコンを造るのは至難の業でした。CPUの性能向上とともに消費電力もうなぎのぼり。そのため発熱も天井知らずに上がり続け、それを冷やすために大型のヒートシンクと高速の空冷ファンが必須で、騒音は必要悪でした。
 ところが暖房機みたいなCPUを造っていたインテルが、このままでは自分の首を絞めることにようやく気づいたらしく、去年の夏に低消費電力の新型CPUを発売しました。おかげでCPUクーラーのファンを低速回転させられるようになり、高性能でも低騒音省エネのパソコンが実現できる環境になりました。
 しかし、そう思ったのも束の間、今年マイクロソフトがVistaなどというクソ重いOSを発売したおかげで、その後、各メーカーが新発売するパソコンは、メモリは増えるは、高性能のグラフィックボードが必要になるはで、省エネもぶち壊しです。幸いなことに、ボクのOSは未だに98と98SEなので、そんな負担はありません。
 そんなこんなで、パソコン本体は省エネ機になったのですが、ディスプレイがまだ17インチのCRTでしたので、73ワットという消費電力が気になります。機械は壊れるまで使う主義なのですが、そろそろCRTディスプレイは予備に回し、省エネのために液晶ディスプレイを手に入れようかと考えていました。
 星群祭から帰り、旅費の残りが2万円ほどあったので、近所のヤマダ電機に安い液晶ディスプレイはないかと偵察にでかけました。いつものように二階のパソコン売り場に行こうとすると、店内の様子が違う。いつの間にか改装したらしく、パソコン売り場は一階に移っていました。
 液晶ディスプレイの売り場に行き、棚に並んだディスプレイを眺めていたら、足元に倉庫の隅から掘り出してきたような型落ちの古いディスプレイの箱が並んでいるのに気づきました。未開封の段ボール箱に「改装開店特価ポイントなし」の特売POPが貼ってあり、その中のサムスンの17インチディスプレイが19,800円でした。通販でもこのサイズの最安値はこんなものなので、送料がない分安いだろうと考え、偵察だけのつもりで来たのに思い切って買ってしまいました。
 この値段だから液晶パネルは当然TNだろうと思っていましたが、帰宅してパソコンに接続し画面表示してみると、斜めから見てもあまり画質が変化しない。おかしいなとネットで調べたら、パネルがサムスン製PVAであることが判明しました。
 瓢箪から駒。思いがけない掘り出し物に当たりました。PVAパネルは視野角が広く、コントラスト比が大きくて黒色がはっきりと表示されるので、テキスト中心の使い手には最適のディスプレイなのです。
 さらに価格を調べてみると、2年前の在庫処分の段階でも3万円を超える金額で販売されていたので、値段的にも破格です。
 製造日付は2004年51週(古っ、いったいどこで眠っていたんだろ?)ですが、パネルのドット抜けもなく画像は鮮明。超ラッキー、ホクホクで〜す (^0^v
 三十三間堂の観音様の霊験かも。お賽銭、あげなかったんだけど…… (^_^;
 肝心の消費電力は34ワットになりました。ようやく梅雨も明け、本格的な夏に向かって、エアコンの効率も良くなりそうです。


(2007.8.5)

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