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不定期宇宙船 No.19

片桐 哲



『星群祭2008、前日』

 新宿駅西口、新宿センタービル東側から出発する深夜バスは、首都高速の渋滞により日付が変わってから到着した。乗車の受付をすませてから1時間ほど待たされる。急いでいる客はひとりもいないようだった。(あたりまえw)
 出発が遅れた深夜バスだが、休憩時間を短くして7時を少し回ったころ京都駅八条口に到着する。2時間くらい寝たかもしれない。
 バスを降りて京都駅構内を抜け、烏丸口のコンビニでにぎり飯を3個調達。
 末寺の檀家なので、毎年とりあえず東本願寺にはお参りをする。御賽銭、御縁(5円)。本堂はいまだ大修理中である。屋根瓦は総葺き替えとなり、ボクの名前を書いた瓦が一枚、屋根に乗る(笑)。
 東本願寺を出て、七条通りを東へ。三十三間堂の前を通り、高校の修学旅行以来となる清水寺へ向かう。地図もないし、道をヤマカンで選んでいったら、なぜか通学する女子高生の群れの中 (^。^)
 『吾妻ひでお』にならって観察。レトロな制服だが、日傘を差している子が数名いる。わが街では、日傘を差した女子高生にお目にかかることはない。さすが京都。眼福々々 (^_^;
 などとアホなことをしているうち、角をひとつ早く曲がったらしい。ついに迷って、通りかかった婦人をつれて散歩している犬に道を訊ねる。ワン。
 清水寺への近道だという国道の地下トンネルを教えてもらうが、「男はんなら大丈夫でっしゃろ」ってどういう意味?
 婦人に礼を言って、教えられた路地の急な階段を降りていくと、鬱蒼と繁った木々におおわれた谷底に着いた。行く手に暗いトンネルが開いている。なるほど。
 国道をくぐって歩道に出ると、すぐ脇に長い階段がある。登っていったら山上の墓地に出た。なるほど、夜だったら男でもやだな。
 尾根筋に造営された墓地を縦断し道なりに歩いていくと、清水寺の名前が入った看板を発見。ほっ。坂道続きで足がダルダルになったころ、ようやく清水寺の裏門に到着する。
 裏から入ると、本堂の舞台に上がらなければ拝観料を払わずにすむ。デジカメで少し風景を撮り、ベンチで朝飯を食べる。40年ぶりに訪れた清水寺だが、古刹の境内などというものは、その程度の時間ではなにも変わらない。ただ、歳をとった自分がいるばかり……。
 外国語が飛び交う境内を一巡し、五条坂とよばれる門前町の参道を下っていったら、疲れきった両足のふくらはぎが突然つる。強烈な痛みで弁慶の立ち往生状態。まったく歩けず、ベンチを見つけて爪先を引っ張って直す。いやはや、サッカー選手の苦痛が実感できた(爆)。
 清水寺は山の中腹にあるということがよくわかった。普段歩いていないツケが出たということ。烏丸五条の駅まで、疲れた足をだましだまし歩く。気温はどんどん上がってくるし、まいったね。
 昨日までは、足利尊氏やら新田義貞やら坂東武者の上洛を想い、五条の橋の上でいっとき歴史的感慨に耽ろうかと計画していたが、そんな余裕は残っていなかった(泣)。
 地下鉄で烏丸御池のマンガミュージアムまで行く。ホテルのチェックインの時間まで、去年と同様に漫画を読んで過ごす。館内には去年より外国人の姿が多い。外国のマンガオタクにも、開館の情報が行き渡ったんだろう。
 朝、女子高生に出会ったので(?)、『吾妻ひでお』を集中的に読む。『コスプレ奥さま』『ななこSOS』などを読んでいると、秋葉原のオタク文化は『吾妻ひでおの妄想』が具現化したもののように思えてくる。
 漫画家やSF作家の妄想はバカにできない。手塚治虫の妄想はホンダのASIMOを生んだわけだし。
 ただし、じっくりと本を読むには、ここの冷房は効き過ぎである。寒くなってテラスのベンチに移動し読み続ける。
 3時を回ったところで地下鉄に乗り京都駅まで戻る。駅前にある星群祭合宿のホテルに3時半に到着。ロビーにはすでに3人来ていた。5人集まったところで部屋に移動し、即風呂。
 今年の合宿参加者は8人だった。素泊まりなので、近所の居酒屋で酒と食事と馬鹿話。昼間さんざん汗をかいたので、いや、ビールが美味いこと。
 二次会は、コンビニで酒とつまみを仕入れ、ホテルの部屋で再び馬鹿話。星群祭は、本番のプログラムより、こちらの方が楽しいかも。
 若い参加者がいないので、昔の合宿のように明け方まで呑む人はいない。酒豪の二人がまっさきに酔いつぶれたので、零時頃お開きとなる。
 深夜バスではほとんど寝ていないので、横になったとたん爆睡zzz


(2008.8.1)

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