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不定期宇宙船 No.22

片桐 哲



 こんな記事をネットで見かけた。
「三菱化学メディアは10月3日、2009年3月末日をもって3.5型のフロッピーディスクの販売を終了すると発表した」
 また記録媒体のひとつがひっそりと市場から姿を消そうとしているようだ。まあ、「HD DVD」に比べればはるかに長寿であったと言えるわけだけれど……。
 最近のパソコンにはフロッピーディスクドライブなど搭載していないようなので、ディスクが手に入らなくなっても、もう困る人はあまりいないのだろう。USBメモリもずいぶん安く手に入るようになったし、CD−Rディスクはフロッピーディスクより安い値段で買える。こうなるとフロッピーディスクの容量の少なさはどうにもならないものね。
 先日、Windows98でも使えるUSBメモリを買いにいったら、2GBの容量のものが970円(ポイント10%)だった。ボクが初めて買ったフロッピーディスクは2DD(720KB)のもので、一枚が1050円だったと記憶している。文豪ミニ7というワープロ専用機を手に入れたとき、同時に10枚買ってきた。それが未使用でまだ3枚残っている。あれから23年は経っているが、値段が高かったので捨てられないのである(笑)。
 星群の原稿も入会したてのころは原稿用紙に手書きだったが、ワープロを買ってからは印字原稿を送った。そのうちに星群の会もIT化が進んだようで、採用原稿にはフロッピーディスクの添付を要請されるようになった。
 長い間お世話になった編集人が引退されて、デジタルに強い新編集人になってからは、星群祭用のノベルズと三題噺の原稿はメールの添付ファイルですんでしまった。おかげで、プリンターの使い道が年賀葉書の宛て名書きくらいしかなくなってしまい、ときどき意味もなく動かさないとインクが詰まりそうだ。年賀葉書など手書きですむほどの枚数しか出さないので、もう次のプリンターは買わずにすむかもしれない。
 2HDフロッピーディスクの1.44GBという容量は、いまではテキストファイルの保存くらいしか使い道がなくなってしまった。デジカメの画素数が増大し、パソコンで扱う画像も静止画から動画に移行している時代では、もう造っても商売にならなくなったのだろう。
 それでもまだフロッピーディスクドライブを搭載した古いワープロ専用機を大事に使っている人は多くいるようだし、ボクのようにパソコンを自作したり、未だにWindows98でパソコンを動かしている者は、ドライブやディスクがなくなるとほんとに困るんだよ。
 昔から、メーカーがユーザーの都合などまったく考慮しないことは経験ずみだから、今回もわれわれがなんとか工夫して、フロッピーを使う機械を延命させるしかないんだろうな。


(2008.11.1)

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