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SFマガジン思い出帳 第1回

雫石 鉄也





 第1回目ということで、創刊号から取り上げよう。昭和34年の発行。もちろん小生は発行時に買っていない。古書店で購入した。確かこの創刊号を買ったのは20歳か19歳のころだった。SFを読むのが楽しくて楽しくて。毎月24日ごろになるとSFマガジンがまだ出ていないか、近所の本屋を順々にのぞいて回った。古い号も集めた。背中の丸い初期の物も何冊か手に入れた。創刊号も欲しくて探し回ったがなかなか手に入れることができなかった。
 当時、小生の古いSFマガジンの入手先は主に神戸の元町。あのころは元町は古書の街といってもいいぐらい古本屋が多かった。
 その日小生は母から三宮そごうでの用事をいいつけられた。休日の午後をつぶされた小生はブウブウいいながらそごうで用をすませた。ついでだから元町にも足を運んだ。で、何軒目かでのぞいた古本屋でこれを見つけた。最初はよく分からなかった。手にとって初めてそれが創刊号であることに気がついた。わくわくしながらレジへ持っていった。確か黒木書店とかいう店だったと記憶する。1200円だった。親の用事はするもんである。

(2007.5)

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