三大SFコンテストのビジュアル部門が発表された。アート部門入選4作のうち、加藤直之、宮武一貴の2名がスタジオぬえ。この2名は、その後、プロとして活躍しているが、というか、この時はすでにプロではないか。あとの2名はどうしたのだろう。また漫画・劇画部門からはプロは出ていない。こと、ビジュアル部門に関しては不調なコンテストだったといっていいだろう。しかし、なぜ早川がコンテストのカテゴリーに漫画や劇画を入れたのか理解できない。新人SF漫画家を発掘するつもりだったのだろうか。だったら、これで入選した人たちを育てればいいものを、彼らはこの発表で一部が紹介されただけで、その後どうなったのか不明。早川が育てるつもりなら、SFマガジンに連載を持たせるぐらいはしなくては。
さて、掲載作を見て行こう。
「亜空間要塞の逆襲(第2回)」主人公のSF作家半村良は、自分の作品の登場人物たちと伊豆の別荘へ。そこでラグビーボール型の亜空間を発見。
「コンピュータ時代」仕事の目的はなんですか。子供から質問された。判らない。課長に聞く。部長に聞く。取引先に聞く。それでも判らない。
「襲撃のメロディ(後編)」巨大電子頭脳襲撃。それは結局、大きなお釈迦様の手の上だった。
「森の中の笛吹き」「私は植物になりました」こんなことをいう兵士が続出。困った基地司令官は。
「黄色い錠剤」おれはだれだ。おれは黄色い錠剤を飲んだ。
「ブーメラン」2mの距離から外傷をつけずにやつらを殺す。そのロボットはそんなことができた。
「ヘンリィ九世」イギリスの大地は、歴史に現れる人々の到着をむかえる。
「征東都督府(第5回)」苦労の末銀座に小さなバーを開いた女。出資者から二つの条件が出された。今回はなんか半村良みたい。
「一マイルもある宇宙船」彼は病院のベッドに横たわる自分を発見した。
「翼のジェニー」小生(雫石)の大好きな「翼モノSF」いいなあ。ハミルトンの「翼を持つ男」が男版で、この作品は女版。
ドミトリイ・ビレンキンの4作はショートショート。ソ連製ショートショートである。星ショートショートに育った者としては、しょうしょうモノ足らない。素直で好感は持てるが。
(2016.2)