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SFマガジン思い出帳 第107回

雫石 鉄也







1975年4月号 No.197

掲載作

亜空間要塞の逆襲(連載第3回)
半村良
過ちの日々に
半村良
キャサドニアのオデッセイ
浅倉久志訳 マイケル・ビショップ
ぬれた洞窟壁画の謎
野田昌宏訳 A・B・チャンドラー
ジョナサンと宇宙クジラ
伊藤典夫訳 ロバート・F・ヤング
太陽の風
塚本淳二訳 アーサー・C・クラーク
暗夜航路
小隅黎訳 ジェイムズ・ブリッシュ
征東都督府(連載第6回)
光瀬龍
ナラポイア
小尾芙佐訳 アラン・ネルスン
思考の憶え描き 連載24回
UFO計画 
真鍋博
日本SFこてん古典 第25回 
日本男児火星へ行く
横田順彌

フォーカス・オン
伊藤典夫
SFスキャナー
並ぶものなき英雄たち
団精二

キャプテン・フューチャー・ニューモード
スタジオぬえ

 この年、半村良が直木賞を受賞した。SF作家で始めての快挙である。半村本人もSFマガジン編集部も素直に喜んでいる。残念ながら受賞作はSFではなく、掲載誌もSFマガジンではない。それ以降直木賞を受賞したSF作家はいないし、SFが受賞作になったこともない。この当時の直木賞は今よりも権威があったと思われる。
 その半村良の連載小説「亜空間要塞の逆襲」(連載3回目)主人公半村良の子供のころのお話。
「過ちの日々に」直木賞受賞を記念して書かれた短編と思われる。広告のスタジオを経営している主人公。人の心をよめる若い女性と知り合う。半村の広告屋時代の想い出を交えながら。
「キャサドニアのオデッセイ」美しい星キャサドニア。ここに来て人類が最初にやったこと。殺戮。
「ぬれた洞窟壁画の謎」銀河辺境シリーズの予告編。僻地にある洞窟をエスパー美女といっしょに調べに行く。
「ジョナサンと宇宙クジラ」巨大な鯨が宇宙にいる。その鯨の体内に入る。そこには街があり、人が住んでいる。その鯨のトシが17歳?!とってもヤングな宇宙SF。
「太陽の風」太陽風を受けて走るヨット。いやあクラークだ。傑作。宇宙SFの醍醐味。
「暗夜航路」目次はジョン・ブラナーとなっているが、ブラナーではない。志賀直哉でもない。べんべん。それはだれかとたずねれば、ジェイムス・ブリッシュ。べんべん。大金持ち、地球を出る。 
「征東都督府」(連載6回目)目次は6回目となっているが、本文は5回目となっている。6回目が正解。「暗夜航路」は目次が間違い本文が正解。ちゃんと校正しとるんかいな。昨今の異変、どうも勝海舟があやしい。土方歳三が勝を問い詰める。
「ナラポイア」自分がだれかのあとをつけていうような。逆被害妄想。
「てれぽーと」のページに星群祭の広告。1975年だから第2回星群祭だ。広告では会場が堀川会館となっているが、実際は京都府立勤労会館で行われた。第1回にやって好評だったショートショートコンテストを実施。小生(雫石)も選考にあたった。ショートショートのコンテストには何度か応募したが、選考する側に回ったのは、後にも先にもこの時だけ。

(2016.3)
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