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SFマガジン思い出帳 第108回

雫石 鉄也







1975年5月号 No.198

掲載作

亜空間要塞の逆襲(第4回)
半村良
みにくい海
伊藤典夫訳 R・A・ラファティ
ただ一点に
米川良夫訳 イタロ・カルヴィーノ
チャリティからのメッセージ
安田均訳 ウィリアム・M・リー
宇宙飛行士とジプシー
浅倉久志訳 マイクル・ビショップ
薔薇の荘園
風見潤訳 トマス・バネット・スワン
征東都督府(第7回)
光瀬龍
星空
河野典生
ドミトリー・ビレンキン・ショート・ショート
深見弾訳 ドミトリー・ビレンキン
ベビイ
小尾芙佐訳 キャロル・エムシュウィラー
思考の憶え描き (第25回)
氷計画 
真鍋博
日本SFこてん古典 (第26回) 
曽呂利新左衛門の秘密
横田順彌
SFスキャナー
アナイス・ニンなんて嘘みたい
川又千秋

図解版 ハル・クレメントの世界
スタジオぬえ

 特集が「SFファンタジー」SFファンタジー!?考えてみれば、おかしな言葉である。小生、SFとファンタジーとは似て非なるものと考える。ものすごく乱暴ないい方をすればSFは科学を基礎として、ファンタジーは魔法を基礎として、つむぐ物語といっていいだろう。そのへんのことに関してテッド・チャンがSFマガジン2008年1月号でエッセイで書いている。伊藤典夫ともあろう人が、この特集の解説でそのことに言及してなかったのが、これ、ひとつの不思議。
「亜空間要塞の逆襲」その女、邦子と私はその街ドレスデンにいった。そこで叫んだ「出て来いヴォネガット」
「みにくい海」いかにもラファティなへんな小説。「海はみにくい」と苦虫ジョンはいった。
「ただ一点に」イタリアの作家イタロ・カルヴィーノSFマガジン初登場。「コスミコミケ」第1弾。これもけったいな小説。壮大なホラ話。
「チャリティからのメッセージ」少女と少年の恋の物語。二人の間には265年の距離がある。
「宇宙飛行士とジプシー」バルカン半島からアドリア海へ。ジプシーはさまよう。
「薔薇の荘園」ていねいに書かれた異世界ファンタジー。冒頭に訳者の風見潤さんがイギリス史の解説を書いてくれているので興味深く読める。
「征東都督府」今回は戦記モノ。江戸を追われた幕府軍は、親徳川の奥羽列藩と軍事同盟を結成して官軍に対峙する。
「星空」「街の博物誌シリーズ」再開第1作。その老人は虫を売っていた。その虫は星空の形をしていた。
「ドミトリー・ビレンキン・ショート・ショート」ソ連製ショートショート。珍品。
「ベビイ」そのベビイは6尺の身体を持っていた。

(2016.4)
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