特集が「SFファンタジー」SFファンタジー!?考えてみれば、おかしな言葉である。小生、SFとファンタジーとは似て非なるものと考える。ものすごく乱暴ないい方をすればSFは科学を基礎として、ファンタジーは魔法を基礎として、つむぐ物語といっていいだろう。そのへんのことに関してテッド・チャンがSFマガジン2008年1月号でエッセイで書いている。伊藤典夫ともあろう人が、この特集の解説でそのことに言及してなかったのが、これ、ひとつの不思議。
「亜空間要塞の逆襲」その女、邦子と私はその街ドレスデンにいった。そこで叫んだ「出て来いヴォネガット」
「みにくい海」いかにもラファティなへんな小説。「海はみにくい」と苦虫ジョンはいった。
「ただ一点に」イタリアの作家イタロ・カルヴィーノSFマガジン初登場。「コスミコミケ」第1弾。これもけったいな小説。壮大なホラ話。
「チャリティからのメッセージ」少女と少年の恋の物語。二人の間には265年の距離がある。
「宇宙飛行士とジプシー」バルカン半島からアドリア海へ。ジプシーはさまよう。
「薔薇の荘園」ていねいに書かれた異世界ファンタジー。冒頭に訳者の風見潤さんがイギリス史の解説を書いてくれているので興味深く読める。
「征東都督府」今回は戦記モノ。江戸を追われた幕府軍は、親徳川の奥羽列藩と軍事同盟を結成して官軍に対峙する。
「星空」「街の博物誌シリーズ」再開第1作。その老人は虫を売っていた。その虫は星空の形をしていた。
「ドミトリー・ビレンキン・ショート・ショート」ソ連製ショートショート。珍品。
「ベビイ」そのベビイは6尺の身体を持っていた。
(2016.4)