この号の特集企画は「恒例 1974年度ネビュラ賞特集」ごらんのようにジーン・ウルフ、マッキンタイヤ、ティプトリーJrと、クセ者3人が並んでいる。
「アイランド博士の死」ノヴェラ部門受賞。アイランド博士の治療を受ける3人。少年ニコラス、殺人狂イグナシオ、若い女ダイアン。ここはどこ?アイランド博士ってだれ?
「霧と草と砂と」ノベレット部門受賞。三匹の毒蛇をあやつる美女。彼女は何をしている?
「愛はさだめ、さだめは死」ショート・ストーリイ部門受賞。「人間」が一切登場しない小説。「人間が書けてない」と直木賞の選考でいつもいってた渡辺淳一が読んだらなんというだろう。この時点(1974年)ではティプトリーは男だと思われていた。以上、3作が1974年のネビュラ賞。なお長編部門受賞作は、連載中のクラーク「宇宙のランデヴー」
「派遣軍還る」光瀬のこのタイトルの作品は二つある。「宇宙塵版」と、この「SFマガジン版」連載1回目だから状況説明。開始早々光瀬節全開。
「亜空間要塞の逆襲」連載終了。亜空間要塞の正体はバーミューダ・トライアングルか?シメはほとんど半村の私小説。
「宇宙のランデヴー」「円筒海」の探検を行う。
「無色の時代」面白くない。
「空飛ぶヴォルプラ」ヴォルプラ、それは天使か?翼を持つ小動物ミュータント。
「未踏の時代」SFのオニ福島正実のスペオペに対する複雑な感情が垣間見えて面白い。福島は本音はスペオペは嫌いだったのだろう。でも、スペオペは商売になる。そのことが福島にもよく判ったわけだ。
この号でマレイ・ラインスターの死が報じられている。享年78歳。17歳で作家になっていたというから、60年以上作家だった。すごい作家だったわけ。ラインスターは。
次号10月号はヒューゴー賞特集。アメリカSFのてっぺんが見えるかな。
(2016.10)