女流作家特集である。それまでSFは、「男の子」のモノであった。SF大会などのSF関係のイベント参加者も、1970年代前半までは、女性の参加者は少なかった。SFの供給側=作家も需要側=読者も女性は少なかった。それが1975年前後から女性のSFファンも少しづつ増えてきた。その時流を反映しての特集企画である。ちなみにわが星群の会では、これより2年後、第4回星群祭のテーマは「女性とSF」であった。この時の実行委員長代理が菅浩江、ゲストに山尾悠子、客席には奇想天外新人賞の佳作を受賞したばかりの新井素子。期せずして、その後、日本SFを支える女流作家3人が一堂に会したのである。
そういうわけで、この号の創作は連載の光瀬龍とクラークそれに田中光二以外は全員女性である。
「派遣軍還る」シンヤ、やっと調査局に到着。総局長とも面会す。
「ヨルダン」ピープル・シリーズ6作目。「新しい故郷」から「同胞」がやって来た。
「アンギャールの宝物」黄金の髪ぼ娘、セムリは風馬で旅立った。ル・グィンのヒロイックファンタジー。
「風の人々」緑の小さな惑星に幼児の息子とその母親がいた。それから16年たった。
「グリンディ」ショートショートである。
「魔女見習い」鈴木いずみ初登場。うさんくさい悪魔にもらった魔法。その魔法を亭主にかけた。
「仮面舞踏会」山尾悠子初登場。あたしの隣の部屋に住んでる地球人は、女流の怪奇小説作家。だれのことやろ。
「女性とSF」評論とあるが、前半は主な女流SF作家の紹介。後半は「原注」という形でル・グィンとレムの問答。
「大いなる珊瑚礁の果てに」エーリアン・メモV。今回のジョン・エナリーはサメ狩りの女と出会う。
「宇宙のランデヴー」ラーマ委員会全員そろう。ラーマに関する意見が委員たちからでる。
「ビュレティン」タイムマシンが帰還。機械は無事、搭乗者行方不明。書類カバンが残されていた。
小生の記憶に間違いがなければ、日本のSF雑誌に初めて登場した女流作家は藤本泉だろう。2番目はこの号の鈴木いずみと山尾悠子ということになる。
(2016.12)