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SFマガジン思い出帳 第114回

雫石 鉄也







1975年11月号 No.204

掲載作

派遣軍還る(第3回)
光瀬龍
ヨルダン
深町真理子訳 ゼナ・ヘンダースン
死の鳥
伊藤典夫 ハーラン・エリスン
アンギャールの宝物
小尾芙佐訳 アーシュラ・K・ル・グィン
風の人々
風見潤訳 マリオン・ジマー・ブラッドリイ
グリンディ
設水研訳 キャロル・エムシュウィラー
魔女見習い
鈴木いづみ
仮面舞踏会
山尾悠子
女性とSF(評論)
沢ゆり子訳 パミラ・サージェント
大いなる珊瑚礁の果てに エーリアン・メモIII
田中光二
宇宙のランデヴー(第4回)
南山宏訳 アーサー・C・クラーク
ビュレティン
浅倉久志訳 シャーリー・ジャクスン

クニ・ファンタスチカ 暗号=Cipher+Code
深井国

日本SFこてん古典 (第31回) 
古典SFQ&A・3
横田順彌
SFスキャナー
ポスト・ニュー・ウェーブの大型新人 マイクル・ビショップ
安田均
ぬえグループパビリオン
鳥人大系図解版 
スタジオぬえ

 女流作家特集である。それまでSFは、「男の子」のモノであった。SF大会などのSF関係のイベント参加者も、1970年代前半までは、女性の参加者は少なかった。SFの供給側=作家も需要側=読者も女性は少なかった。それが1975年前後から女性のSFファンも少しづつ増えてきた。その時流を反映しての特集企画である。ちなみにわが星群の会では、これより2年後、第4回星群祭のテーマは「女性とSF」であった。この時の実行委員長代理が菅浩江、ゲストに山尾悠子、客席には奇想天外新人賞の佳作を受賞したばかりの新井素子。期せずして、その後、日本SFを支える女流作家3人が一堂に会したのである。
 そういうわけで、この号の創作は連載の光瀬龍とクラークそれに田中光二以外は全員女性である。
「派遣軍還る」シンヤ、やっと調査局に到着。総局長とも面会す。
「ヨルダン」ピープル・シリーズ6作目。「新しい故郷」から「同胞」がやって来た。 
「アンギャールの宝物」黄金の髪ぼ娘、セムリは風馬で旅立った。ル・グィンのヒロイックファンタジー。
「風の人々」緑の小さな惑星に幼児の息子とその母親がいた。それから16年たった。
「グリンディ」ショートショートである。
「魔女見習い」鈴木いずみ初登場。うさんくさい悪魔にもらった魔法。その魔法を亭主にかけた。
「仮面舞踏会」山尾悠子初登場。あたしの隣の部屋に住んでる地球人は、女流の怪奇小説作家。だれのことやろ。
「女性とSF」評論とあるが、前半は主な女流SF作家の紹介。後半は「原注」という形でル・グィンとレムの問答。
「大いなる珊瑚礁の果てに」エーリアン・メモV。今回のジョン・エナリーはサメ狩りの女と出会う。
「宇宙のランデヴー」ラーマ委員会全員そろう。ラーマに関する意見が委員たちからでる。
「ビュレティン」タイムマシンが帰還。機械は無事、搭乗者行方不明。書類カバンが残されていた。
 小生の記憶に間違いがなければ、日本のSF雑誌に初めて登場した女流作家は藤本泉だろう。2番目はこの号の鈴木いずみと山尾悠子ということになる。

(2016.12)
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