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SFマガジン思い出帳 第125回

雫石 鉄也







1976年10月号 No.215

掲載作

消滅の光輪(第9回)
眉村卓
我ら死者とともに産まれる
ロバート・シルヴァーバーグ 佐藤高子訳
もし星が神ならば
ゴードン・エクランド&グレゴリイ・ベンフォード 柴野拓美訳
革命前夜
アーシュラ・K・ル・グィン 佐藤高子訳
水色の月
石原藤夫
月蝕
石原藤夫
わが虫垂の内なる声
フィリップ・ホセ・ファーマー 浅倉久志訳
絵物語―切支丹拾遺―
金鍔次兵衛
畑農照雄

北アメリカ・SFの旅(最終回)
伊藤典夫
日本SFこてん古典(第37回)
こてん古典Q&A
横田順彌

グランドマーク(第3回)
スタジオぬえ
星座の歳時記(第3回)
バイキングと火星
日下実男
SFスキャナー
〈福祉機構〉と神話
ジーン・ヴァン・トロイヤー

 吉例。ネビュラ賞特集である。う〜む。このころのSFマガジンはSF専門の文芸誌としての責任をきちんと果たしていた。それに比べて隔月刊になってからのSFマガジンの堕落は目をおおうばかりである。ヒューゴー賞やネビュラ賞といった海外のSFの動静には知らんふり。アニメだ映画だと、これが文芸誌であるのか疑うばかり。 
「我ら死者とともに産まれる」「もし星が神ならば」「革命前夜」の3篇がネビュラ賞受賞作。先月のヒューゴー賞に比べて、少々しぶい作品と感じる。
「我ら死者とともに産まれる」ノヴェラ部門。生きている死者。絶滅した動物をハンティング。なんだこの世界は。
「もし星が神ならば」ノベレット部門。異星人が来た。太陽と対話しに来た。
「革命前夜」ショート・ストーリイ部門。「革命の母」過ぎし日のことを想う。
「消滅の光輪」(第9回) 司政官マセと巡察官トドの腹の探りあい。
「水色の月」20世紀初頭。井戸水で生活してる。でも、頭上を巨大な宇宙船が飛ぶ。
「月蝕」従姉妹に頼まれて、生意気な女の子をあずかることになった。友だちに助けを乞うが誰も電話に出ない。
「わが虫垂の内なる声」バーンズは虫垂を持っていた。なんとめずらしい。 
「北アメリカ・SFの旅」今回で最終回。なるほど、40年前、SFもんがアメリカを旅するということは、こういうことか。

(2017.11)
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