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SFマガジン思い出帳 第138回

雫石 鉄也







1977年11月号 No.228

掲載作

消滅の光輪(第22回)
眉村卓
続・関東大時震
横田順彌
アイは死を超えない
鈴木いずみ
ワンス・アポン・ナ・サマータイム
山尾悠子
海より来たりしもの(前篇)
鏡明
アーム
ラリイ・ニーヴン 風見潤訳
矢野徹インタビュー この人との1時間
第1回 豊田有恒

特別座談会 アッカーマン氏を囲んで

リーダーズ・ストーリイ 豊田有恒・選
ワンダーランドへようこそ(連載5)
鉄腕トール
鎌田三平
宇宙叙事詩 II
ルシアナ
光瀬龍+萩尾望都
日本SFこてん古典(第50回)
SF戯曲第一号
横田順彌
星座の歳時記(連載16)
流星あれこれ
日下実男
私をSFに狂わせた画描きたち
エド・エムシュウィラー(その2)
野田昌宏

ソビエトSF映画の近況
深見弾
アメリカSF界レポート
ジーン・ヴァン・トロイヤー
SFスキャナー
エリスンは健在だ、そう思った。
安田均
サイエンス・トピック
南海の“怪獣”騒ぎ
池見照二

星群祭レポート
風見潤

 今号は「新鋭三人集」と銘打って、鈴木いずみ、山尾悠子、鏡明の3人の作品が柱。この3人それぞれその後がいろいろ。鈴木いずみは元ポルノ女優という特異な経歴で、女性の感性をおもてに出したSFを書いていた。第4回星群祭を「女性とSF」というテーマでやったときゲストとしてお呼びした。快諾をいただいたが、残念ながら体調不良で来られなかった。あのとき鈴木いずみゲストが実現していれば、彼女が参加した唯一のSFイベントが星群祭であっただろう。この9年後自殺。その第4回星群祭には山尾悠子が出席。星群祭初の女性ゲストである。この第4回星群祭。実行委員長代理が菅浩江、演台に山尾悠子、客席に新井素子。いま思えばぜいたく華やかだ。
 その山尾悠子、長らく「伝説の作家」であったが今年「飛ぶ孔雀」を上梓。ファンを喜ばせた。鏡明は某ブラック企業のエライさんになって小説は書かなくなったが、長いあいだ「本の雑誌」で自慢話コラムを連載している。こうしてみると現役の作家は山尾悠子だけか。鈴木いずみの夭折が惜しまれる。
「消滅の光輪」惑星ラグザーンの貴重な収入源は海藻。新種の海藻が繁茂して、在来の海藻を駆逐しはじめた。問題である。
「続・関東大時震」雪之丞たちが20世紀にもどる方法を松戸博士が考える。さて、どうする。大きな校正ミス。目次では「続・関東大時震」となっているのに31ページの本編開始ページでは「続・関東大地震」となっている。奇絶、怪絶、また壮絶!!
「アイは死を超えない」生命移植。命そのものを人から人へと移植できるようになった。
「ワンス・アポン・ナ・サマータイム」火事がおこった。〈彼女〉は行った。〈葬儀屋〉は片脚を。〈CC〉は声を失った。
「海より来たりしもの」修道士ヨアン船旅をしている。聖典を運んでいる。若い船乗りアロンと知り合い仲良くなる。
「アーム」恒星間航行の研究者が殺された。死体は焼きつくされている。でも、凶器はレーザーではないとおれは見る。未来SFミステリー。
 このころ二人のSF関係者が来日。銀河辺境シリーズのバートラム・チャンドラーと、世界1のSFコレクターにして日本SFの恩人フォレスト・J・アッカーマンが相次いで来日。チャンドラーのことは野田さんが自分の連載のページで写真付きで報告している。詳細なレポートは次号。
 アッカーマン夫妻を囲んで座談会。出席者は矢野徹、野田昌宏、早川浩編集長。アッカーマンさん。大変に面倒見の良い人だと良く判る。実はアッカーマンさんとは小生も会った。京都に来られたとき同行していた柴野拓美さんから連絡をもらって、星群一同都ホテルまで会いに行った。たいへんに愛想の良いおじさんであった。
 大型インタビュー企画が始った。インタビューアーは矢野徹。第1回は豊田有恒。これは好企画であった。インタビューアーを矢野さんという年長者にしたのが良かった。遠慮なくかなり突っこんだことまで聞いている。
 読者投稿のページ「リーダーズ・ストーリイ」が始った。選者は豊田有恒。わが畏友石飛卓美はこの企画で豊田さんに見出された。豊田さん時代ではないが小生(雫石)一度だけ掲載してもらったことがある。
 アメリカSF界レポート。レム事件の真相。スタニスワフ・レムがアメリカSF作家協会(SFWA)の名誉会員として迎え入れらた。しばらくしてこれが気にくわん人が出てくる。フィリップ・K・ディックなどは、レムが出て行かんのやったら俺が出て行くと怒る。デイックに同調する者も。どうもレムの歯に衣着せぬものいいがカチンと来る人多数。と、いうこと。
 サイエンス・トピックスでは前号に続いてニューネッシー騒ぎの話題。前号では光瀬龍がウバザメ説を否定していたが、こちらではどっちともいってない。
 星群祭レポートを風見潤が書いている。第4回の星群祭だ。

(2018.12)
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