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SFマガジン思い出帳 第158回

雫石 鉄也







1979年6月号 No.248

掲載作

神々の宇宙靴
ジョン・スラディック 浅倉久志訳
野蛮な力
ジョン・スラディック 乗越和義訳
蒸気駆動の少年
ジョン・スラディック 安田均訳
ロストワールド2(第2回)
田中光二
宝石泥棒(第14回)
山田正紀
梨湖という虚像
梶尾真治
うぬぼれロボット
ルイス・パジェット 山田順子訳
空間(あな) 
岬兄悟
豹頭の仮面 GUIN SAGA(第2回)
栗本薫

日本SFこてん古典(第60回)
珍書「小人島十年史」
横田順彌
サイエンス・クリティック
木星の輪 
日下実男
SF映画講座 第八回
ドイツ表現主義
井口健二
連作 宇宙叙事詩 XI
ある記録(一)
光瀬龍+萩尾望都
リーダーズ・ストーリイ 豊田有恒 選・評
「虫」
鈴木研児

九州SF&アニメ祭レポート
私をSFに狂わせた画描きたち
続 フランク・ケリー・フリース
野田昌宏


 ジョン・スラディック小特集が最初の3本。スラディック、ラファティと双璧を成す奇想の作家といっていいだろう。
「神々の宇宙靴」考古学はなにをしていたのか?
「野蛮な力」ロボット三原則。「ロビイ工学の三原則」アシモフの三原則と似ているが違う。
「蒸気駆動の少年」あいつはロボット。こいつもロボット。そして大統領は?
「ロスト・ワールド2」マローン、若い美女と巨漢の黒人の訪問を受ける。美女がいう「ロクストン卿は盗人だ」
「宝石泥棒」ジローたち5人、いよいよ「空なる螺旋」へ行く。その前に「自殺者の森」を通らなくえてはならん。
「梨湖という虚像」私、奈瀬進、梨湖。男2人女1人。進死す。梨湖ひとりぼっちの仕事につく。そこでバーチャル進をつくる。純愛SF。梶尾お得意の泣かせるSF。
「うぬぼれロボット」ギャラガーがつくったロボットのジョーは、ギャラガーのいうことをあまり聞かない。しかも自分が美しいと思っている。
「空間(あな)」畳に穴、天井に穴。その穴はつながっている。オレが穴にモノを出し入れすると穴がよろこぶ。 
「豹頭の仮面(GUIN SAGA)」このシリーズの問題のエピソード。第2話癩伯爵の砦。ここで栗本が癩病ハンセン氏病に関して偏見と無知による描写を行う。文庫になった時に修正されたらしい。それでもこうしてSFマガジン掲載時の作品は読めるわけだ。栗本のハンセン氏病に対する偏見と無知は消すことはできないのである。栗本薫は物故者であるが、彼女がそういう作家であたっという事実は残るのである。

(2020.8)
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