戻る

SFマガジン思い出帳 第19回

雫石 鉄也







1967年11月号 No.101

この号の掲載作

EXPO’87(第4回) 
眉村卓
水星電力センター 
クリフォード・シマック
地球諜報員 
ポール・アンダースン
流星二五〇五年
光瀬龍
シナリオ製造します
豊田有恒
サイボーグお鷹 
平井和正
恒星への抜け道 
ジェイムス・ブリッシュ


 人気カウンターでは、小生は
 1位 恒星への抜け道
 2位 地球諜報員
 3位 水力電力センター
 と、している。この、ブリッシュ、アンダースン、シマック、小生の場合、これにヴァン・ヴォクトも入るかな。これらの作家たちは、このころは、よく親しんだ作家たちだった。今では、あまりSF者たちのあいだで、話題になることは少ないが、50年代60年代を代表するアメリカSFの担い手たちといってもいいだろう。
 アシモフ、クラーク、ハインラインといった大御所たちは、クリーンナップを打つ強打者。この号の3人、ブリッシュ、アンダースン、シマック、それにヴォクトは、3割から2割7分ぐらいの、1番、2番、6番、7番という感じだ。
 1番はヴォクトだな。書けば確実に出塁するし、「宇宙船ビーグル号」「スラン」「イッシャーの武器店」といったホームランも打てる。さしずめ現役時代の真弓監督といったところか。
 2番は、これはもうアンダースンだ。「タイムパトロール」シリーズ、「ホーカ」シリーズといった人気のシリーズを持っている。確実にツナギのバッティングが出来る。はずれの少ない上手い作家だからバンドも手堅くこなす。「折れた魔剣」のようなヒロイックファンタジーも書くし、「タウ・ゼロ」のようなハードSFも書く。非常に器用な2番打者。平野プラス関本だな。
 6番はブリッシュ。このころのハードSFの代表的な書き手といえばブリッシュ。「スタートレック」シリーズ、「宇宙都市」シリーズといった人気シリーズを抱えているのはアンダースンと同じだが、ブリッシュの「スタートレック」はご存知のようにテレビのノベライゼーション。「宇宙都市」は60年代の代表的なハードSFのシリーズ。5番のアシモフが残したランナーを確実にホームに帰すのが、6番のブリッシュ。今年前半の鳥谷。と、なると、この時代のもう一人のハードSFの書き手ハル・クレメントは他球団のだれかな、中村紀洋かな。「重力の使命」といった「いてまえ打線」もあったが。
 7番はシマック。しぶい守備の人といった感じかな。といっても打撃も確実に2割5分以上はキープしている。「都市」といったホームランも打つ。こんどコーチになった久慈さんかな。
 で、50年60年代アメリカSFでチームを作ってみた。
    オーナー ヒューゴー・ガーンズバック
    球団社長 マレイ・ラインスター
    監督   ジョン・W・キャンベル
    コーチ  エドモンド・ハミルトン
         E・E・スミス
       
    1番 センター  ヴァン・ヴォクト
    2番 2塁  ポール・アンダースン
    3番 1塁  ロバート・A・ハインライン
    4番 レフト  アーサー・C・クラーク
    5番 ライト  アイザック・アシモフ
    6番 3塁  ジェイムス・ブリッシュ
    7番 ショート  クリフォード・シマック
    8番 キャッチャー  レイ・ブラッドベリ
    9番 ピッチャー  ロバート・シェクリイ
     (クラークは英国人だが外人ワク扱いとしない)
 どうです。なかなか強そうでしょう。このSFのWBC日本代表チームはまた別の機会に考える。お楽しみに。

(2008.11)
inserted by FC2 system