1967年9月号。No.98
小生が生まれて初めて買ったSFマガジンである。実はこの雑誌の存在は以前から知っていたし、新聞広告でどんな内容の雑誌かは、ある程度知っていた。
学校の図書館にあったハイラインのジュビナイルSFを読んでSFの面白さを知った小生は、この当時E・E・スミスのレンズマンを読み始めていた。出版社は東京創元社で訳は小西宏、表紙のイラストは真鍋博。たしかこの号を買った時は「グレーレンズマン」を読み終わろうとしている時だった。
学校の帰りに本屋に立ち寄って、意を決してSFマガジンを買った。それ以来40年間1号も欠かさずに買い続けている。この日が小生の人生を変えた日かも知れない。
目次を見てみよう。
空洞惑星 石原藤夫
スト破り アイザック・アシモフ
頂上の男 R・ブレットナー
夜 ジョン・W・キャンベル
金剛石のレンズ フィッツ=ジェイムズ・オブライエン
ひき潮 光瀬龍
タイム・ケンネル 豊田有恒
連載はEXPO87 眉村卓の第2回目。
他にコラム類として「SFスキャナー」「SFでてくたあ」「トータル・スコープ」など。
小生は人気カウンターでは「空洞惑星」を1位にしている。しかし今でも強烈に印象に残っているのは「金剛石のレンズ」だ。
ダイアモンドで作ったレンズの顕微鏡を手に入れた若い微生物学者が主人公。彼は一滴の水滴の中で人間そっくりの姿形の微生物を発見する。彼はこの世の物とは思えないレンズの下の美女に恋してしまう。もちろん叶うはずのない恋である。こんなせつなく美しい話を読んだのは初めてだった。SFではこういうのもアリか。SFの無限の可能性を教えてくれた作品が、生まれて初めて買ったSFマガジンに載っていた。
(2007.6)
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