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SFマガジン思い出帳 第25回

雫石 鉄也







1968年4月号 No.106

掲載作
10月1日では遅すぎる(第3回)
フレッド・ホイル
そして壁は崩れおちた・・・
ジョン・ウインダム
夜明けの邂逅
アーサー・C・クラーク
完全犯罪防止法
リチャード・R・スミス
夢は神聖
ピーター・フィリップス
親枝の折れるとき
ルイス・パジェット
瞬間を貫いて(第2回)
アレクサンドル・ミレル
ガーディアン
眉村卓
解けない方程式
石原藤夫

 この号の人気カウンター、小生は「解けない方程式」を1位に上げている。トム・ゴドウィンの名作「冷たい方程式」を嚆矢とする、いわゆる「方程式もの」のひとつで、この作品の解は、だれでも考えつくような解だが、眼目は、密航者の扱いをどうするかではない。今時の若者がごく普通に享受している喜びは、昔、俺たちが命を賭けて得たものだよ、というお年よりの話。
 このころのSFマガジンには「世界みすてり・とぴっく」というコラムが連載されていた。この号のこのコラムに面白い記事が掲載されていた。
「的中率90パーセント‐1968年の予言」という内容。イギリスのジョン・ペンドラゴンなるおっさんが、1968年の予言を前年にしたもの。このおっさん、これから起こることを、先に文書の形で公表しておいて、後で検証したら的中率が90パーセントとのこと。小生は、元来、占い、予言のたぐいが大嫌いで、はなっからそんなもんは信じはしない。というわけで、このおっさんの予言が果たして、ほんまに良く当たるのか見てみよう。

日本とアメリカの連帯関係はますます緊密になる。
こんなん誰でもわかる。

米中の緊張が高まる。将来、中共から危機がもたらされる。
わずか3年後、ニクソン訪中。10年後米中国交樹立。

コスイギンか、その後継者が訪米。
1968年にソ連の指導者の訪米はなかった。

ベトナムの事態は悪化する。
アメリカにとっては悪化だが、ベトナムにとっては良化だったかも。

アラブ問題は解決にほど遠い。
そんなん誰でもわかる。

 その他、いろいろ愚にもつかん「予言」があったけど割愛。小生は、だから予言占いのたぐいは嫌いなんや。

(2009.5)
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