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SFマガジン思い出帳 第43回

雫石 鉄也







1970年4月号 No.132

掲載作
        
不死販売株式会社(第2回)
加藤喬訳 ロバート・シェクリイ
戦争ゲーム 
浅倉久志訳 フィリップ・K・ディック
ポーカー・フェイス 
荒俣宏訳 シオドア・スタージョン
浜辺に出かけた日 
関口幸男訳 キャロル・エムシュウィラー
嘘か真か 
矢野徹
プリンス・オブ・ウェールズ再び 
豊田有恒
バビロン 
光瀬龍
ニュートロイド 
鏡明訳 ウォルター・M・ミラーJr.

 この号の目玉は、日米の力作中篇2編。光瀬龍「バビロン」とウォルター・M・ミラーJr.「ニュートロイド」だ。
 まず、光瀬の「バビロン」。シリーズ〈都市〉の第4部。おなじみの、茫漠とした光瀬節を楽しめる。今回は、古代バビロンで物語が開幕。後半は消滅した太陽系第5惑星アイララと、バビロンがリンクする。滅び行く都市と滅び行く惑星の悲劇。
「ニュートロイド」人口爆発。全世界には厳しい産児制限が。資格を持った者しか子供を作れない。子供を持てない人々は、知能強化されたペット用動物ニュートロイドを、家族として家庭に迎え入れ家族として愛する。主人公は規格外のニュートロイドを取り締まる監査官。規格外のニュートロイドは「処分」せねばならない。
「戦争ゲーム」おもちゃの兵隊ゲーム。このゲーム危険につき販売許可が出ない。なぜか。
「ポーカー・フェイス」自分のカードも人のカードも、自由自在に操るフェイスは3000年を隔てたところから来た。時間ではない「期間」だ。
「浜辺に出かけた日」お母さんもお父さんも身体に毛がない。両親はぼくを浜辺に遊びに連れて行ってくれた。危険をかいくぐり。
「嘘か真か」アブノーマルポルノSFショートショート、かな?
「プリンス・オブ・ウェールズ再び」41回で紹介した1970年2月号掲載の、ブライアン・W・オールデス「リトル・ボーイ再び」に対するアンサー小説。イギリスってひどい国だな。
「不死販売株式会社」は2回目。石原藤夫の「SFロボット工学入門」は第3章ロボットの頭脳とコンピュータ。野田昌宏「SF美術館」は6回目。ギャラクシイ誌の1957年。
 伊藤典夫「SFスキャナー」いつもと切り口を変えて、SFファンダムとは何か。日米のファンダムあれこれ。
 石森章太郎の連載漫画「7P」今号の献辞はアーサー・C・クラークに。大伴昌司「トータルスコープ」は万博(もちろん1970年の大阪万博)の映像展示を紹介している。  

(2010.11)
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