1970年8月号 No.136
掲載作
中間宇宙 団清二訳 アラン・E・ナース
若い種族 小尾芙佐訳 アイザック・アシモフ
時のオデュセウス 眉村卓
海魔 関口幸男訳 A・E・ヴァン・ヴォクト
大いなる正午 荒巻義雄
自由への道 都築道夫
マリアナ 斎藤伯好訳 フリッツ・ライバー
非常食料 南山宏訳 シオドア・コグスウェル
オスカー 大野二郎訳 クリーヴ・カートミル
この号、表示の月号は8月号だが、読者の手元に届いたのは、1970年6月25日だ。1970年の日本万博はこの年の3月に開幕している。だから、万博開幕3ヵ月後のSFマガジンである。時期的に、もう少しで夏休みという時期だ。万博人気が絶頂に向かっている時である。
この時期にどんぴしゃのタイミングの記事が掲載されている。「SFファンのための万国博ガイド」筆者は大伴昌司。
SFファンには博覧会好きが多い。小生は、70年の日本万博は神戸から吹田まで日参した。だいたいのパビリオンは見た。このころは、小生はまだファンダムに首を突っ込んでおらず、1人で万博通いをしたが、81年の神戸のポートアイランド博、90年大阪鶴見の花博は、お仲間とつるんで見に行った。
万博のガイドブックは山ほど出たが、そこはそれ、なんといってもSF専門誌であるからして、SFファンが興味を引きそうなポイントを要領よくまとめてある。小生も大いに参考にした。
巻末特選ノベルシリーズと銘うって70年になって、海外の中篇を掲載してきた。この号で6作目となる。
で、その6作目は、ナース「中間宇宙」どこやらの研究機関が物質移送機を作ってしまった。それが異次元の住人を刺激したらしい。サンフランシスコとボストンが消滅。世界の命運は、次元を行き来できる1人の天才少年の肩にかかっていた。
「若い種族」子供たちが小さな宇宙人を捕まえた。スピルバーグの「ET」の先駆け。最後にどんでん返し。
「時のオデュセウス」未来人がギリシャ神話の英雄オデュセウスにちょっかいをかいた。タイムパトロールに逮捕される。余談だが、小生がチャチャヤングで拙作のショートショートを眉村さんに読んでもらった時に、頂いたサイン本は銀背の「時のオデュセウス」だ。
「海魔」サメの化身が人間に化けて襲ってきた。
「大いなる正午」荒巻義雄の小説デビュー作。難解である。
「自由への道」都築道夫のショートショート。死刑のアイデアネタ。
「マリアナ」ショートショート。ボタンを押すとモノが消える。世界が消える。
「非常食料」エビの缶詰を食う。
「オスカー」へんな生き物。
万博期間中に開催された、国際SFシンポジウムの趣意書が掲載されていた。主催は日本SF作家クラブと日本SFファングループ連合会議。この2組織が共同でイベントを開催したのは、この国際SFシンポジウムだけである。
ハヤカワSF文庫7月下旬発刊の広告。最初の刊行予定。ファーマー「緑の星のオデッセイ」ハミルトン「さすらいのスターウルフ」バロウズ「月の地底基地」ヴォクト「宇宙嵐のかなた」ハワード「征服王コナン」
コラム「世界SF情報」で、ドイツの人気SF作家ということで、クラーク・ダールトンを紹介。ダールトン創案のドイツ製スペオペがあるとのこと。なんでも、ハミルトン、スミス、ヴォクト、ウィリアムスン、バロウズを足して5で割ったような連続冒険活劇。ペリー・ローダンのことである。あきずによく続いていることだ。
(2011.3)
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