戻る

SFマガジン思い出帳 第48回

雫石 鉄也







1970年9月号 No.137

掲載作

時間線をのぼろう(第1回) 
伊藤典夫訳  ロバート・シルヴァーバーグ
わが町 
浅倉久志訳  チャド・オリバー
模擬演習 
斎藤伯好訳  ハリイ・ハリスン
倒錯 
福島正実
こんなはずでは・・・ 
関口幸男訳  ヘンリイ・カットナー
時への扉 
船戸牧子訳  C・L・ムーア
淡彩画 
河野典生
恐怖省 
堀晃
ヤコブのポタージュ 
深町真理子訳 ゼナ・ヘンダースン

 この時期、最も華々しい活躍をしたアメリカ人SF作家はシルヴァーバーグだろう。小説工場と異名を取り、大量の通俗小説を量産していたが、60年代後半から良質のSFを書くようになった。その、「ニュー」シルヴァーバーグの時間SFの連載がこの号から始まった。
「わが町」鉄道模型のばあさんの告白。わんぱく小僧が模型を壊してよろこぶ。
「模擬演習」火星探検のシュミレーション訓練。なかなか合格者がでない。ごうをにやした司令官は究極の訓練を課す。
「倒錯」福島正実お得意の白昼夢ネタ。「SFの鬼」福島が、SFSFしたSFを書かなかったのはなぜだろう。
「こんなはずでは・・・」なんとしてでもエビをジープで運ばなならん。という因習のある村にやってきた飛行機乗りは一計を案じるが。
「時への扉」きせずして夫婦が並んだ。記述はないが、「ノースウェスト・スミス・シリーズ」のうちの一編と思われる。
「淡彩画」河野典生のショートショートである。
「恐怖省」堀晃のアクションSF。情報省が無人化される。無用の存在となった情報サイボーグは、狩りの対象となる。
「ヤコブのポタージュ」ピープル・シリーズ。僻地に隠れ住む人間そっくりの異星人。超能力を隠してひっそりと暮らす。その村に教師として赴任した主人公の女性。子供たちの不思議な歩き方を治そうとするが。
 巻頭の「サイエンス・ジャーナル」で「汚染される生活環境」と題して公害問題を取り上げている。1970年。公害の深刻さに人々は気づき始めた。
 大伴昌司の「SFファンのための万博ガイド」の続編。今回は、珍品、おかしげなもの、および映像展示の紹介。ネコもシャクシもマルチ映像。おみそならハナマルチ。

(2011.4)
inserted by FC2 system