1970年9月号 No.137
掲載作
時間線をのぼろう(第1回) 伊藤典夫訳 ロバート・シルヴァーバーグ
わが町 浅倉久志訳 チャド・オリバー
模擬演習 斎藤伯好訳 ハリイ・ハリスン
倒錯 福島正実
こんなはずでは・・・ 関口幸男訳 ヘンリイ・カットナー
時への扉 船戸牧子訳 C・L・ムーア
淡彩画 河野典生
恐怖省 堀晃
ヤコブのポタージュ 深町真理子訳 ゼナ・ヘンダースン
この時期、最も華々しい活躍をしたアメリカ人SF作家はシルヴァーバーグだろう。小説工場と異名を取り、大量の通俗小説を量産していたが、60年代後半から良質のSFを書くようになった。その、「ニュー」シルヴァーバーグの時間SFの連載がこの号から始まった。
「わが町」鉄道模型のばあさんの告白。わんぱく小僧が模型を壊してよろこぶ。
「模擬演習」火星探検のシュミレーション訓練。なかなか合格者がでない。ごうをにやした司令官は究極の訓練を課す。
「倒錯」福島正実お得意の白昼夢ネタ。「SFの鬼」福島が、SFSFしたSFを書かなかったのはなぜだろう。
「こんなはずでは・・・」なんとしてでもエビをジープで運ばなならん。という因習のある村にやってきた飛行機乗りは一計を案じるが。
「時への扉」きせずして夫婦が並んだ。記述はないが、「ノースウェスト・スミス・シリーズ」のうちの一編と思われる。
「淡彩画」河野典生のショートショートである。
「恐怖省」堀晃のアクションSF。情報省が無人化される。無用の存在となった情報サイボーグは、狩りの対象となる。
「ヤコブのポタージュ」ピープル・シリーズ。僻地に隠れ住む人間そっくりの異星人。超能力を隠してひっそりと暮らす。その村に教師として赴任した主人公の女性。子供たちの不思議な歩き方を治そうとするが。
巻頭の「サイエンス・ジャーナル」で「汚染される生活環境」と題して公害問題を取り上げている。1970年。公害の深刻さに人々は気づき始めた。
大伴昌司の「SFファンのための万博ガイド」の続編。今回は、珍品、おかしげなもの、および映像展示の紹介。ネコもシャクシもマルチ映像。おみそならハナマルチ。
(2011.4)
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