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SFマガジン思い出帳 第49回

雫石 鉄也







1970年10月号 No.138

掲載作

脱走と追跡のサンバ(第1回) 
筒井康隆
アンドロメダ・シティ 
光瀬龍
鉄の殉教者 
大野二郎訳 ロバート・ムーア・ウイリアムズ
記者会見 
小森正昭訳 ミリアム・アレン・ディフォード
記憶 
つだ・みちお
レボリューション 
山野浩一
ある小惑星への訪問 
浅倉久志訳 ゴア・ヴィダール
時間線をのぼろう(第2回) 
伊藤典夫訳 ロバート・シルヴァーバーグ

 筒井康隆の連載が始まった。前号からシルヴァーバーグの連載が始まったから、この当時日米の最ものっている作家二人の競作となった。
「アンドロメダ・シティ」シリーズ〈都市〉第6部の完結編。このシリーズの重要なモチーフである「アイララ」の正体が明かされる。そして太陽系第5惑星との関わりも。
「鉄の殉教者」ムーア・ウィリアムズだなんて阪神のピッチャーが合体したような名前の作家だ。人類絶滅後、ロボットが自意識を持った。「私は人間だ」と。その彼が、生き残りの人類と出会う。
「記者会見」太陽系外航行より帰還した女性宇宙飛行士が、記者会見でいってはいけないことをいってしまった。
「記憶」この作者は、小生の記憶によればこの1作だけだったのではないか。当然だ。この程度の作品、全盛期の星群ノベルズならその他おおぜいだ。
「レボリューション」完璧な国家ができた。それでも革命をやりたい。山野浩一の自問自答ショートショート。
「ある小惑星への訪問」めずらしやSFマガジンに戯曲が載っている。SFコメディ。異星人と思われる男がウチにやってきた。陸軍の将軍やら某国の大統領やらを巻き込んでドタバタ騒ぎ。
 特別読物として「ホモ・モンストローズス万歳」渡辺晋が掲載されている。筆者は医者のビッグネームファン。空想上の人間を、「人類学」として分類分析する。好読物。
 大伴昌司「トータル・スコープ」で、ジョージ・ルーカス「THX-1138」のパイロット版が入荷したが、いつ公開されるか判らないとの記事。まさか、この時は、この若い監督が「スターウォーズ」で大ブレイクして、ハリウッドをしょって立つ映画作家になるとは思わなかった。

(2011.5)
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