戻る

SFマガジン思い出帳 第5回

雫石 鉄也







1968年10月号 No.113

 ソ連SF界のリレー連作「瞬間を貫いて」の最終回が載っている。広告のページを開くと「世界SF全集」の広告が。本年9月より刊行開始とある。この号は10月号だから実際は9月25日発行ということになる。すると第1回配本のハックスリイ「すばらしい新世界」オーウェル「1984年」が刊行されていたはず。
 もちろん書店に走ってすぐ買った。この全集全巻そろえてやるぞ、との意気込みを持っていたが、なにせ貧乏な若者のこと、結局、22巻買っただけだった。このうち第30巻、光瀬龍、筒井康隆、眉村卓の巻は、この号の広告では新作書き下ろし長編となっているが、実際は「48億の妄想」「幻影の構成」「たそがれに還る」が掲載されている。また、別巻として「SF講座」なる巻が広告されている。実はこの巻小生はものすごく楽しみにしていて、出たらすぐ買おうと思っていた。ところが39年待っているが未だに出ていない。早川さん、もうそろそろ出してもいいのでは。と、いっていたら「日本SF・幼年期の終わり」として全集の月報をまとめた本がでた。
 この号の目玉はクラシックSFとして、「30年後」星一が掲載。星新一ではない。星一である。星新一のお父さんのSFだ。この作品、ごく最近の2007年5月号bU13で横田順彌氏が紹介している。
 相最葉月の「星新一 1001話をつくった人」を読んで星一という人物に興味をもたれた方も多いだろう。もしお手元にこの号があれば一読するのも一興だろう。星新一が解説、要約をしている。
   

(2007.9)

inserted by FC2 system