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SFマガジン思い出帳 第52回

雫石 鉄也







1970年12月号 No.141

掲載作

時間線をのぼろう(最終回) 
伊藤典夫訳 ロバート・シルヴァーバーグ
地球に忘れられた夜  
都築道夫
かくれんぼ  
小隅黎訳  アーサー・C・クラーク
最後の手紙  
小森正昭訳 フリッツ・ライバー
老エイハブの友、そしてノアの友なるもの、その物語を唱う 
矢野徹訳  レイ・ブラッドベリ
ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業(後編) 
矢野徹訳  ロバート・A・ハインライン
脱走と追跡のサンバ(第3回) 
筒井康隆

 この号で石森章太郎の連載漫画「7P」が終った。最終回は日本人作家ア・ラ・カルト。小松左京、眉村卓、平井和正、手塚治虫、豊田有恒、福島正実、筒井康隆、星新一、光瀬龍たちを、一人一こまでそのイメージを表現。なかなか適確に各作家の特長をとらえていてニヤリとさせられる。
 国際SFシンポジウム出席のため来日している、アーサー・C・クラークに福島正実が10時間つきあう。さすがにクラークは好奇心旺盛だ。
 巻頭にブラッドベリの長編詩が掲載されている。ブラッドベリは国際SFシンポジウムは欠席。その代わりに祝歌として、この詩を贈ってきた。訳が矢野さん。ブラッドベリの訳を矢野さんが やるのはめずらしいのでは。
 では今号の作品を紹介しよう。連載は省く。
「地球に忘れられた夜」都築道夫久しぶりのSFマガジン登場。核戦争後の野獣と化した人々。都築のテクニックだけで読まされる。
「かくれんぼ」宇宙服一丁で巨大な宇宙巡洋艦に立ち向かう。どうしたか。舞台が火星空域だから、衛星フォボスをうまく使った。
「最後の手紙」通信手段が発達した未来。そんな世に、古典的な紙に手書きの手紙を書いたやつがいた。そのため大混乱大騒動大迷惑。
「老エイハブの友、そしてノアの友なるもの、その物語を唱う」詩である。
「ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業」ホーグ氏の調査をしている、探偵ランダル夫婦は奇妙な一団に襲われる。妻シンシアは意識不明。こいつらは何者。ホーグ氏の職業が明らかになる。彼は芸術批評家だった。
 コラム「世界SF情報」で「アンドロメダ病原体」映画化完成近し、とある。マイクル・クライトン原作の映画化である。小生は封切り時、ロードショーを観に行った。よく出来た映画だった。のちにテレビでも放映された。不思議なことに映画館で観た時より良かった。映画館で観るよりテレビの方が良かったのは、この映画だけである。

(2011.8)
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