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SFマガジン思い出帳 第53回

雫石 鉄也







1971年1月号 No.142

掲載作

火の国のヤマトタケル
豊田有恒
恐竜狩り  
船戸牧子訳  L・スプレイグ・ディ・キャンプ
アラリー  
深町真理子訳 ロバート・シルヴァーバーグ
禁猟区  
関口幸男訳  ログ・フィリップス
必要の母  
小森正昭訳  チャド・オリバー
ロックでいこう  
山野浩一
脱走と追跡のサンバ(第4回)   
筒井康隆

 戸倉正三ミニミニ・ショートショート5ということで、ショートショート5編が巻頭カラーページに掲載されている。戸倉正三さん、お会いしたことはないが、お名前は存じ上げている。ハガジンというハガキ1枚の個人ファンジンを出していた人だ。小生はショートショート好きにつき、戸倉さんのようなファンライターが見直されることを望む。
 国際SFシンポジウムで来日中の、アーサー・C・クラークと小松左京の対談が「未来社会への展望」と題して、NHK教育テレビ(70年9月24日放映)でなされた。それの完全再録が載っている。今となっては、ご両名とも鬼籍に入られた。時は流れるのだ。これを読むと良く判るのだが、クラークって、やっぱり、ものすごく楽天的な人だ。それがクラークの魅力だな。
 それでは掲載作を紹介していこう。
「恐竜狩り」タイムマシンに乗って、中生代にさかのぼって恐竜ハンティング。だれでも思いつくアイデアだが、なかなかこれっという作品は少ない。田中光二で同じアイデアの作品があるが、小生の記憶に残っているのは、それとこの作品ぐらい。
「アラリー」地球人のいらぬお節介が異星人を危機に追い込んだ。目の前に現れた、気の良い異星人は一人ではないんだ。余計なことはせぬこと。
「禁猟区」森の中をさすらう人間もどきの生物。彼らは人間か人間ではないか。人間でないのなら知性を持つことは許されないのか。
「必要の母」新しい、アメリカの「建国の父」の息子が語る、偉大な男の話。本当はさみしかったのかな。
「ロックでいこう」世界的な人気ロックグループが新曲を録音中に失踪。彼らはどこへ行ったのか。なぜいなくなったのか。
「火の国のヤマトタケル」まさに満を持して登場といった新シリーズ。コナンなどアメリカ製のヒロイックファンタジーが紹介され、人気を得ていたが、誰かが日本独自のヒロイックファンタジーを書くと思っていた。それが、日本、東アジアの古代史に詳しい、豊田が書くのは必然だったといえよう。主人公は日本神話の代表的ヒーロー、ヤマトタケル。お話はおなじみの大和朝廷の熊襲討伐。この号の目玉作品だけあった、一番面白かった。
 テレポートのページにファンジン・パトロールというコラムがあった。全国各地のファンジンを紹介するコラムだ。この号では「SFマニア」が紹介されている。グループ「超人類」が発行するファンジンである。私たち星群の前身である。

(2011.9)
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