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SFマガジン思い出帳 第56回

雫石 鉄也







1971年5月号 No.146

掲載作

ライオンの棲む都市
山高昭訳 アーサー・C・クラーク
ある爆発星雲の伝説
浅倉久志訳 ブライアン・W・オールディス
絹の国への特命使節
宇野利泰訳 ウイリアム・ゴールディング
服こそ人なり
大野二郎訳 リチャード・マティスン
盗作者はだれか?
秋津宏之訳 ジャック・ルイス
平面上の影 
深見弾訳 ミハイル・エムツェフ&エレメイ・パルノフ
おれはウィリー 
関口幸男訳 シオドア・R・コグスウェル
脱走と追跡のサンバ(第8回)
筒井康隆
大河漫画
鳥人大系 
手塚治虫
SFコミックスの世界(第5回)
この次は鳥に生まれたい
小野耕世
空想不死術入門(第3章)
正体への展望
渡辺晋
SFスキャナー
宇宙の彼方への旅
鏡明
エンサイクロペディア・ファンタスティカ
続・プロ作家への長い道
伊藤典夫

 イギリスの3作家の中篇が3本掲載されている。御大クラーク、くせものオールディス、SFプロパー作家ではないが「蝿の王」で有名なゴールディング。三者三様で楽しめる。
「ライオンの棲む都市」遠未来。人類が英知を結集して建設した都市コマール。リチャード・ペイトン3世はコマールを訪問する。彼はそこで一頭のライオンと出会う。ライオンとともにコマールに入ったペイトン3世は「技術者」と会う。
「ある爆発星雲の伝説」物質瞬送機のミスでおかしげな惑星に不時着してしまった金融業者。そこは天然の反重力物質を産出する異世界だった。奇妙な生物が存在するが知性を有し、銀河共通語がなんとか通じる。地球に帰還すべく主人公はパートナーを変えつつ冒険旅行する。
「絹の国への特命使節」ローマ皇帝の下に奇妙なギリシャ人がやってきた。彼は風もないのに驚異的なスピードで走る不思議な船を作った。常に北を指す物質を知っているといい、望むなら詩集を100万部でも作れる。皇帝はギリシャ人を特命全権大使に任命した。赴く先は、東方の絹の国。中国。三大発明秘話。
 この号は、この3篇が読み応えある中篇で、筒井の連載を除いた4篇はショートショートである。

(2011.12)
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