戻る

SFマガジン思い出帳 第61回

雫石 鉄也







1971年10月号 No.151

掲載作

脱走と追跡のサンバ(最終回)
筒井康隆
セイブルック星よりの使者
山本光伸訳 アイザック・アシモフ
わが愛はひとつ
深町真理子訳 ロバート・F・ヤング
小さな町
川又千秋訳 フィリップ・K・ディック
海を失った男
伊藤哲訳 シオドア・スタージョン
冬の王
山田和子訳 アーシュラ・K・ル・グィン
申請受理
山田和子訳 エイブラム・デヴィッドスン
天の窓 
島岡潤平訳 ジョン・ブラナー
魔法使と謎の美女 
佐藤正明訳 ジャック・ヴァンス
戦国自衛隊(後篇)
半村良
大河漫画
鳥人大系 第4章 オーベロンと私(その3)
手塚治虫
SFコミックスの世界(第10回)
アニメーション野郎
KOSEI
空想不死術入門
第6章 人工冬眠ノート
渡辺晋
SFスキャナー
永遠の宮殿にたどりついてはみたものの
浅倉久志
エンサイクロペディア・ファンタスティカ
宇宙製造者たち(5)
伊藤典夫

 筒井康隆の連載が終わった。この号は読み切り短編が8編と、大変にぎやかな陣容であった。この8編プラス半村良の「戦国自衛隊」の後編。大変にお買い得な号だったのではないか。このころのSFマガジンは良心的であった。最近の号は中途半端なちょうちん企画に、それに関連した短編が1本か2本。今の早川の編集部は1970年代の編集部を見習ってほしい。  
「セイブルック星よりの使者」ファーストコンタクトもの。大きなお世話。 
「わが愛はひとつ」100年の人工冷凍の刑に処せられた男。愛する妻と永遠の別れ。100年経って刑期満了。べたべたの純愛もの。ヤングである。
「小さな町」デッィク版シムシティ。自分の住む町のジオラマを作る。気にくわんヤツの家をチャイチャイする。
「海を失った男」砂に埋められた男。「海」とはなんぞいや。
「冬の王」国民に人気の王が退位して、亜光速宇宙船で宇宙へ逃れる。なんでや。王国に帰ってきた彼を待っていたのは。
「申請受理」何かを申請するため行列。「何番の窓口へ」タライ回しにされる。まさかデヴィッドスンが先代桂春蝶の「ぜんざい公社」を知っていたのか!?
「天の窓」一人月へ向かう宇宙飛行士。太陽の異変で地球が突如焼失。彼一人生き残った。
「魔法使と謎の美女」たそがれの地球。魔法使の家の庭に謎の美女がたびたび出現。彼女がどうしても捕まえられない。「暮れゆく地球の物語」第2話。
「戦国自衛隊(後篇)」2度映画化された。1979年版は面白いが千葉真一と角川春樹がやりたい放題。2005年版は駄作。この原作は映画とはだいぶん違う。伊庭義明三尉率いる土岐衆は天下統一まであと一歩までいった。ところが伊庭は○○○○だった。
 大伴昌司「トータル・スコープ」でマイクル・クライトン原作の「アンドロメダ・・・」を紹介していた。この映画は名作だ。

(2012.5)
inserted by FC2 system