半村「真説・本能寺」100枚、ディレーニイ「ただ暗黒」170枚。日米の大型の読み切りが2本並んだためか、「エンサイクロペディア・ファンタスティカ」と「空想不死術入門」の二つの連載がお休みとなった。
さて、その「真説・本能寺」平和を願うヒの力で信長は天下統一寸前まで行った。ところが信長はネになった。このままではこの国に平和は来ない。ヒ一族の明智光秀は重大な決心をする。ヒ一族って表に出ない一族だが、超保守主義者の集団である。
「ペニシリン一六一一大江戸プラス」光瀬タイムパトロールもの。江戸は神田のゴミ捨て場から未使用のペニシリンのアンプルが発見された。だれが捨てたのか。なぜ未使用のまま捨てたのか。
「Tと失踪者たち」人が消える。どんどん消える。ちょっとした時間に消える。向こう向いている間に、いままでしゃべっていた人が消える。死ぬのではない消えるのだ。なぜ消える。消えるリクツの説明はない。破滅SFのようで破滅SFではない。なんせNWの山野浩一だから。
「光、天より墜ち・・・・」征服者人類。被征服者鳥人。鳥人差別がひどいが、鳥人の娘に恋してしまった。
「男と女」ショートショート。生き残った二人。地球最後の男女。男、女にプロポーズする。ところが男に、とんでもないことが!笑うしかない悲劇が。
「ただ暗黒」わたしは全世界動力機構の電力架線隊の新任班長。地球上あまねく所に電力を供給し、人々の暮らしを支援するのが任務。ところが、便利な電気はいらないという人たちがいる。わたしは、そんな連中のコミューンに接触する。
この号の巻頭言で、フレドリック・ブラウンの訃報が掲載されている。ブラウンは小生がSFファンになったころ、最も親しんだ海外の作家だった。
(2013.1)