にゅーうぇーぶ特集である。山野浩一が「総括!新しい波!」と称して解説を書いているが、例によって独断的な評価によって「ヨイ作家」「ワルイ作家」に評価分けしている。アシモフなんか気の毒にオール×、バラードはもちろんオール◎。
山野がいうようににゅーうぇーぶがSFに風穴を開け、SFが大きく変貌したかというと、あれから40年経った今から見ると、にゅーうぇーぶなんぞはSFをつまらなくしただけだった。あれはしょせん一時の気の迷いにすぎなかっったのだ。
「クレイターを越える旅」「絶叫(スクリーム)」「猿とプルーとサール」の3篇がにゅーうぇーぶ特集として掲載されている。このたび久しぶりに読んだが、あい変らずなんのことやらまったく判らん。SFどころか、小説にすらなっていない。SFは、まず小説であるべきと考える。
さてさて読むのが苦痛なだけの、にゅーうぇーぶ特集の苦行はさっさと終えて次の作品に移ろう。
「江戸地底城」第五話ということで、時代は江戸期へと流れた。今回は鼠小僧ネタ。処刑された鼠小僧次郎吉はニセ者だった。ニセ者の処刑、それは幕府の権力につながる秘密にかかわることだった。本物は島送りにされていた。島抜けした本物の鼠小僧が幕府の秘密に迫る。
「月面のキス」困った。月面で、宇宙服の袖で前面のゴーグルを拭いたら曇ってしまった。よく見えない。さて、どうしたか。物理の試験に使えそう。
「馬を生け捕れ!」頭の後ろに光の輪をくっつけたタイムトラベラーが馬を捕まえにやってきた。そのころの馬は白馬で額に角をはやしていた。
「明日より永遠に」(前篇)ハードボイルドな筆致で書かれた近未来アクションSF。前篇だから設定だけで、具体的な情況はまだよく判らない。
渡辺晋の「空想不死術入門」は今回で最終回。メリルのエッセイ「日本のSFと私」は翻訳者としての矜持を語っていた。
(2013.5)