この号の特集は「ゲリラ小説特集」と銘打って、忌まわしい「にゅーうぇーぶ」の特集である。まったく、性懲りもなくまたやっていたのである。つるかめつるかめ。「北京交点」「時間機械」「創造性の問題」の3作がゲリラ小説であるとか。いちおう、今回も読んだけど、あいかわらずさっぱり判らん。面白くもなんともない。
さて、苦痛以外の何物でもない「ゲリラ小説特集」をなんとか読み終えて「夜の翼」にたどり着いた時は心底ほっとしたしだい。やっぱり、ちゃんとした小説はそれだけでありがたい。
「夜の翼」二人の地球人が月面に不時着。一人の月世界人と会う。月世界文明は絶滅の危機に瀕していた。
「砂漠のピラミッド」妻が失踪した考古学者。医者である妻が残した記録を読む。
「逃げる」火事から逃げる。いろんなモノから逃げる。逃げる。逃げる。ともかく逃げる。
「ネオンムラサキ」青いきれいな蝶が頭の上を舞う。どこに行っても蝶が舞う。同じ蝶か。つきまとう蝶。蝶は彼にだけつきまとうのか。
「遺跡の風」司政官カゼタが赴任している惑星タユネインは平和な惑星。なんの問題もない。そのタユネインに司政官候補生と巡察官が来訪することになった。この報が伝えられて前後して、タユネイン各地で幽霊騒ぎ。滅んだ先住民の幽霊を見たと植民者たちが騒ぐ。
以上、この号の8編。ゲリラ小説の3篇は論外として、「夜の翼」「砂漠のピラミッド」は出来が悪い。面白くない。「逃げる」「ネオンムラサキ」「遺跡の風」は面白かった。この号、日本勢の圧勝である。
真鍋博のイラストエッセイ「思考の憶え描き」の連載が始まった。第1回は「浮島計画」
「すぺーす・たいむ・あんてな」に「火の気のない加熱器」なるものが紹介されている。IH調理器のこと。ずいぶんたって実現したわけだ。小生、趣味で料理をするがIH調理器はいらない。あんなモノで炒飯はできない。
(2014.2)