先号6月号はクラシックSF特集、先々号5月号はにゅーうぇーぶ特集だった。この7月号は別段特集企画は組まれていなかった。雑誌にはこういう号も必要だ。特集をやると、その企画に興味のある読者はいい。しかし、興味のない企画なら、読むのに苦痛だ。例えば、小生は「にゅーうぇーぶ」は嫌いだ。このたび5月号を読み直したが苦痛だった。たぶん41年前も苦痛だったと思われる。そんなに嫌なら読まなければいいと思うが、SFマガジンは当時も今も定期購読してるから、早川書房から自動的に送って来る。金だして送ってもらっている雑誌だから、読まないというのはもったいない気がする。貧乏性のなせるワザである。
さてこの号は8篇の読みきり短編が掲載されている。これぐらいの数の短編は載せてもらいたいものだ。最近のSFマガジンは読みきり短編の数が少なくていかん。
「内なる殺人者」人間にとりつく生命体。宿主が年老いれば使い捨て。次々、宿主替えて生きのびてきたが、とうとう年貢の納め時が。
「歴史的事実」西欧化の最先端を行くファッションカメラマン。ある古墳の前でモデルを撮影。ところがどうしてもシャッターが押せない。日本人としてのアイデンティティーか。
「アポロ再び」1969年のアポロ11号月着陸以来、70年代の宇宙開発は停滞していた。宇宙マニアの日本人二人、中古のICBMを買って、クラシックアポロ宇宙船で月に観光に行く。
「マインド・ウインド」主人公は外回りの営業マン。地方への出張多し。その主人公が、無目的に人々が集まって散歩する散歩族と遭遇する。
「おじいちゃん」惑星評議員を筏に乗せて案内した。筏は生き物で、おとなしい植物動物だが、なぜか突然、暴走しはじめた。
「神よ、あなたの御手に」人類は滅びた。人類の文明の記憶を持ったロボットが地上に出て「人間」を創造しようとする。
「待機ねがいます」日本には狐憑きや狸憑きがあるが、この男に取り憑いたのは象だった。象憑き男はなんの役に立つのか。
「いつの日か」バードはしゃべり続ける。その円筒記憶媒体に貯めこまれた言葉語彙お話のストーリーを組み合わせて。人間は文字も数字も忘れた。
前回83回で、小松左京の「日本沈没」が「SFでてくたあ」でレビューされ、小生(雫石)たちが眉村さん宅の勉強会で、これは売れるぞと話題になったことを書いたが、この号の同欄にて同作がベストセラー1位になったと記されている。ちなみに2位は安部公房「箱男」4位は広瀬正「タイムマシンの作り方」SFがよく売れていたのだ。
(2014.4)