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SFマガジン思い出帳 第86回

雫石 鉄也







1973年9月号 No.176


掲載作

ザルツブルグの小枝 街の博物誌パート6
河野典生
メデューサとの出会い 
伊藤典夫訳 アーサー・C・クラーク
大気と闇の女王
矢野徹訳 ポール・アンダーソン
亜空間要塞 第1部
半村良
劇画ノヴェル
新・幻魔大戦 第4章 魔人・正雪(6)
平井和正 石森章太郎
大河漫画
鳥人大系 第12章 ミュータント(その5)
手塚治虫
新連載SFエッセイ
ロン先生の虫眼鏡 第1回 小さな者たちの弁護人
光瀬龍
新連載評論
幻想小説の方へ 夢の言葉・言葉の夢 第1回 幻を見る人々
川又千秋
思考の憶え描き 5
火山計画 
真鍋博
SF論壇
宇宙の人形師 フィリップ・K・ディック論
浅倉久志訳 デヴィッド・エルワード
SFスキャナー
パステル・シティ 
岡田英明

 1972年度のヒューゴー賞・ネビュラ賞の特集である。浅倉久志が解説を書いている。1971年度のような両賞の重複はなかった。この年の受賞者の顔ぶれを見ると、ラリー・ニーヴンを除いて、1950年代から活躍しているベテランが目立った。オーソドックスなSFの巻き返しか。
 この特集で2本の関連作品が掲載されている。
「メデューサとの出会い」ヒューゴー賞長中篇第2席。主人公は飛行船の船長をやっていて事故を起こし墜落した過去を持つ。その主人公が熱気球に乗って木星探査を行う。その木星で巨大な生命体と思われえる物体と遭遇する。
「大気と闇の女王」ヒューゴー賞中篇賞受賞・ネビュラ賞中篇賞受賞。遠未来の惑星ローランド。行方不明のわが子を探しに母親は、魑魅魍魎うごめくこの地に潜入する。
 読み切り短編は、これ以外には河野典生の「街の博物誌」シリーズの6作目。今回の「ザルツブルグの小枝」は、次元のすき間から垣間見えたのは、塩の結晶がこびりついた小枝という話し。美しいイメージだ。
 半村、光瀬、川又の連載が始った。半村は小説。光瀬は生き物ネタのエッセイ。川又は評論。光瀬の「ロン先生の虫眼鏡」は好エッセイ。生き物に対する愛情がいっぱい。ファーブル昆虫記に匹敵する生き物エッセイが日本にもあったのだ。図書館ででもこの本を見かければ一読をお勧めする。


(2014.6)
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