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SFマガジン思い出帳 第87回

雫石 鉄也







1973年10月号 No.177


掲載作

無常の月 
柴野拓美訳 ラリイ・ニーヴン
帝国よりも大きくゆるやかに
小尾芙佐訳 アーシュラ・K・ル・グィン
ニッポンカサドリ 街の博物誌パート7
河野典生
ノー・コネクション 
小森正昭訳 アイザック・アシモフ
されば荒野に水わきいで・・・
深町真理子訳 ゼナ・ヘンダースン
亜空間要塞 第2部
半村良
大河漫画
鳥人大系 第12章 ミュータント(その6)
手塚治虫
連載SFエッセイ
ロン先生の虫眼鏡 第2回 小さな勇者
光瀬龍
連載評論 幻想小説の方へ 
夢の言葉・言葉の夢 第2回 転落の敷居・壁のない穴
川又千秋
思考の憶え描き 6
橋梁計画 
真鍋博
SF論壇
宇宙の人形師(中) フィリップ・K・ディック論
浅倉久志訳 デヴィッド・エルワード
SFスキャナー
アンダーグラウンド・ストーリーテラー 
岡田英明

 1972年度ヒューゴー・ネビュラ賞特集の第2部。「無常の月」と「帝国よりも大きくゆるやかに」がこの特集企画の掲載作である。
「無常の月」ヒューゴー賞短編賞受賞。今夜の月の光は異常だ。どうしてこんなに輝く。太陽が異常なのだ。昼がくればみんな死ぬ。愛し合う二人は?新井素子が書きそうな破滅もん。翻訳が柴野拓美!?小隅黎ではなく柴野拓美。なんかあったんだろうか。
「帝国よりも大きくゆるやかに」探検隊が目的の星に到着。そこは緑の星。この星の森は全体が一つの「存在」探検隊の内部でパニックが発生する。「恐怖」が襲ってくる。純粋な「恐怖」そのものが。この2作がヒューゴー・ネビュラ賞企画。
「ニッポンカサドリ」古風なニッポン男子である書道の先生。特攻隊の生き残りである先生は戦後の風潮を嘆く。そんな先生が頭に日の丸を頂く鳥に出会った。
「ノー・コネクション」舞台は遠未来の北アメリカ。かっては高度な文明を有した原始霊長類。この霊長類はなぜ滅んだか。
「されば荒野に水わきいで・・・」ピープル・シリーズ。挿絵は新井苑子さん。このシリーズは新井さんが挿絵を描いているが、新井さんの画風がよくあっている。
 荒野に墜落した飛行物体から救出された少年は大やけど。開拓農民の一家に手当てを受けて世話になる。この家の少年と友だちになる。このあたりはひどい旱魃で水がない。一家はこの地を見捨てて移住を検討している。そしてやけど少年が奇跡を起こす。このシリーズいいなあ。
「ロン先生の虫眼鏡」は今回はジガバチの話。筆者のメスのジガバチに対する愛情が感じられる。
「新・幻魔大戦」は休載。どこにもなんのことわりもない。なんかあったんだろうか。


(2014.7)
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