1972年度ヒューゴー賞・ネビュラ賞特集の第3部である。まずはその企画の作品から。
「ヴァチカンからの吉報」ネビュラ賞短篇賞受賞。どうも次期ローマ法王にロボットが選ばれそうだ。シルヴァーバークは発達したロボットの有能さをいいたいのか、バチカンの権威主義を批判したいのかどっち?
「失踪した男」ネビュラ賞長中篇受賞。海中ドームでコンピュータ技師が誘拐された。技師は都市のメンテナンスを司るコンピュータを担当している。事件解決にあたるのが若き超能力刑事。
この2篇が1972年のアメリカSFベスト短篇であると、当時のかの国のプロたちがいっているわけ。う〜む。いかがなものかという感じ。シルヴァーバークは軽いが面白かった。ところがマクリーンのはどこがいいのか小生にはさっぱりわからなんだ。
「直立猿人」ぼくにはしっぽがある。恋人に別れを告げられた。時、同じくして身体に変化が。お尻のあたりがムズムズすると。医者に行くと尻尾が生えていることが判明。
「生なきもの」インドに「守護聖人」と呼ばれて人々に敬われている老医師がいる。明日引退して下帯だけの裸で、物乞い用の椀と杖だけをもって托鉢に回るという。そのころ先天性精薄児が急増。その調査にこの地を訪れたWHOの若い医師は聖人に会う。
「最後の狩猟」人口爆発。アフリカの野生動物はすべて食糧となった、生き残りと思われる象がマサイの村を襲った。象退治を依頼された老ハンター。「幻覚の地平線」でデビューしたばかりの田中光二が、このあたりから毎号のように登場。新人作家として一生懸命育てている。
「ロン先生の虫眼鏡」ジガバチにもアホやカシコがいるということ。
「世界みすてり・とぴっく」でユリ・ゲラー(ユーリー・ゲラーと表記)を紹介している。手品師ではなく超能力者としての紹介である。
なお、この号の「てれぽーと」欄に星群の会会員募集の広告が掲載されている。
(2014.9)