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SFマガジン思い出帳 第91回

雫石 鉄也







1974年1月号 No.181

掲載作

非常事態
深見弾訳 ストルガツキー兄弟
夜明け
稲垣はるみ訳 トゥピーツィン
知性テスト
深見弾訳 ドミトリイ・A・ビレンキン
特級パイロット
深見弾訳 ウラジーミル・D・ミハイロフ
接触
深見弾訳 アレクサンドル・I・シャリモフ
限界のヤヌス(前編)
眉村卓
大河漫画
鳥人大系 第12章 ファルコ・チンヌンクルス・モルツス(その3)
手塚治虫
劇画ノヴェル
新・幻魔大戦 第4章 魔人・正雪(9)
平井和正 石森章太郎
思考の憶え描き 連載9
地平線計画 
真鍋博
ロン先生の虫眼鏡 第5回
フクロウとトビ この空の勇者たち(1)
光瀬龍
SFスキャナー
タイムマシンて好きですか?
岡田英明
連載評論 幻想小説の方へ 
夢の言葉・言葉の夢 第5回 包囲
川又千秋
日本SFこてん古典
第10回 すぺーすおぺら・いん・じゃぱん
横田順彌

 この号は「現代ソ連SF特集」日本で海外SFというとどうしても英語圏のSFが主流になってしまう。だから日本のSF専門誌としては。非英語圏SFの紹介は極めて大切な仕事ではないだろうか。このような企画は今も続けられていて、直近では2014年5月号No.698で非英語圏SF特集が組まれている。この企画はぜひ継続してもらいたい。
 さて、掲載作6篇のうち、眉村卓「限界のヤヌス」以外は全部ソ連SFである。社会主義体制下のSFである。21世紀の現代、世界で社会主義の国そのものが少ない。ソ連は今はなく、中国は経済は資本主義だし、北朝鮮は社会主義国ではなく王国だろう。あと、ベトナム、キューバぐらいか。これらの国にSFはあるのだろうか?北朝鮮のSFってどんなんだろう。偉大なる首領さまがチュチェ思想で築かれる理想の強盛大国を描くユートピアSFだろうか。
 それはさておき、今では珍品といっていい社会主義国ソ連のSFである。
「非常事態」宇宙船の中に黒いハエ発生。8本足のハエ。地球のハエではない。やたら増える。地球に持ち込んだら大変。生物学者のマルィシェフはだいじょうぶといった。
「夜明け」少女チンカは不思議な少年と知り合う。アレクサンドルという名の少年は難しい数学理論学の問題を頭だけで、ソラで解いた。彼はきっとロボットに違いない。
「知性テスト」宇宙船の中に黒い影。幽霊か?
「特級パイロット」長寿学研究所宇宙部門がパイロットを募集した。応募してきたのは、どう見ても40代と思われる男。ところが男は自分は227歳だという。しかも特級パイロットだと。
「接触」その惑星は酸素がある。水もある。しかも生き物もいる。花が咲いていてトンボみたいな虫もいる。しかし、なんだか奇妙な音が聞こえる。
 以上がソ連SF。これらを日本勢でただ一人対抗しているのが眉村卓の司政官。
「限界のヤヌス」惑星ガンガゼンは重金属を多量に産する。原住民ガンガゼアは〈ド〉と呼ばれる指導者を中心に部族ごとにまとまっていた。一方、植民者たちは不穏な動きを見せる。
 光瀬龍の「ロン先生の虫眼鏡」は前回まではジガバチの話題であったが、今回からは昆虫から鳥の話題へ。フクロウとトビである。夜中に何者かが養魚場の魚を盗んでいる。犯人はフクロウか?
 大伴昌司が亡くなったので、映画紹介のページが「フォーカス オン」として新装開店した。大空翠が担当している。
 半村良の「産霊山秘録」が泉鏡花賞を受賞した。この賞の第1回の受賞である。

(2014.11)
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