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SFマガジン思い出帳 第98回

雫石 鉄也







1974年8月号 No.188

掲載作

歌麿さま参る―笙子夜話
光瀬龍
小さな黒いカバン
逸見一好訳 C・M・コーンブルース
星の海に魂の帆をかけた女
伊藤典夫訳 コードウエイナー・スミス
巨砲
鎌田三平訳 フィリップ・K・ディック
新妖幻記・白魔傳控帖 最終回 白魔終章
荒巻義雄
昇天する箱舟の伝説
矢野徹
大河漫画
鳥人大系 第14章 赤嘴党(その3)
手塚治虫
SFエッセイ
ロン先生の虫眼鏡 第12回 波にゆられて見る夢は
光瀬龍
日本SFこてん古典 第17回 
明治のSFと政治小説
横田順彌
連載評論 幻想小説の方へ 
夢の言葉・言葉の夢 第11回 鉄腕アトムの子ら
川又千秋
SFスキャナー
ヤング・ヤング・ヤング!
風見潤
思考の憶え描き 連載16
炎上計画
真鍋博

 まず「ロン生生の虫眼鏡」から。今回はウミガメの産卵のお話。で、ウミガメとは関係ないけれどベエさんという人物のエピソードも。ベエさんは漁師ではない。盗品船具取扱い業を営む。このベエさんが入院した。磯釣りをやってる連中とケンカしたのだ。
 ベエさんが「お前らが海を荒らすから魚が捕れなくて漁師が困っている」と磯釣り連中にいうとケンカになって袋叩きになった。漁師の弥七丸とっつあん大感激「よくぞいってくれた。そのとおり」釣り人の傍若無人な所業には漁師は困り果てている。
 漁師と親交のある光瀬龍もこのベエさんに賛同。釣り人は漁師の邪魔。これには小生(雫石)も大いに賛同。小生は魚好き。食べるのも料理するのも好き。金魚や熱帯魚といった観賞魚も阪神大震災以前は飼っていた。でも、小生は釣りをしない。小生は水産学科出身である。ちょっとは魚のことも勉強した。漁労実習で漁師を接することも多かった。彼らも釣り人は迷惑だといっていた。だいたいが日本の海はほとんどが漁業権が設定されている。だから地元の漁協にことわりなしに釣りをするのは本当は密漁。プロの漁師におめこぼししてもらって、素人がお遊び魚とりしているだけ。
 それはさておき、この号の作品を紹介していこう。
「歌麿さま参る―笙子夜話」稀代の浮世絵師歌麿の実像に迫る。写楽は歌麿なのか?タイムパトロールもの。
「小さな黒いカバン」アル中の飲んだくれで、どうしようもないイカサマ医師。その医者が「黒いカバン」を拾った。それから彼は名医となった。その黒いカバンはなんだ。
「星の海に魂の帆をかけた女」ヘレン・アメリカとミスター・グレイ=ノー=モアの物語り。ヘレンは船乗りだ。
「巨砲」とある惑星に不時着。着陸する前に何者かに攻撃される。どうも何かを護っているようだ。
「白魔終章」このシリーズもいよいよこれで終わり。時駕籠を完成させた平賀源内一家は安永から大正へ飛ぶ。さらに昭和へ。源内、思い出の地長崎へ。源内はその時その地で未曾有な巨大な災厄にあう。
「昇天する箱舟の伝説」日本帝国海軍の新型潜水艦X101。試験航海の途上、敵の工作によって沈没。ふと気がつくと空気と陸地がある。人もいる。ここはどこ。彼らは何者?


(2015.6)
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