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とつぜんコラム No.14

雫石 鉄也


「スターウォーズ・エピソードII・クローンの攻撃」を観た。結論からいうと、まあまあというところか。シリーズ中では標準よりちょっと下という評価かな。
 ストーリーはいままでの五作中で一番単純。メインはパドメ・アミダラとアナキン・スカイウォーカーの色恋沙汰。これにアナキンとオビ・ワンのギクシャクしかけている師弟関係。アナキンの母親の身の上。銀河共和国の内部分裂などのエビソードがサイドストーリーとしてからむ。
 正直いうと小生の場合前半は少々ダレた。おとなしい場面が多く、アナキンとアミダラの恋の成り行きにしてもストレートに話が進行するからハラハラさせない。前半の見せ場は暗殺者をアナキンとオビ・ワンが追跡する場面ぐらい。
 見せ場は後半にまとめてあった。後半はほとんどが戦闘シーンである。で、肝腎の大活劇だがこれはすごかった。シリーズ中最も派手な画面をたっぷりと見せてくれる。ジェダイの騎士の主要メンバー全員がライトセイバーを振るって大チャンバラ。あのヨーダまでが立ち回りを演じてくれた。しかし、ヨーダにアクションは似合わない。ちょこまかした感じになって、ヨーダの持つ威厳がだいなし。やはり、マスター・ヨーダは静かにしていて気迫で周囲を圧倒しなくては。
 アミダラのナタリー・ポートマンはいっそう美しくなった。それにカマキリの化けもんに衣服を切り裂かれ、ヘソを出してがんばるという、パルプ雑誌のスペースオペラ定番のサービスも忘れていない。
 シリーズもこれが5作目。新作が観られるのも、2005年公開予定のエピソードVのみとなった。思えば1977年に第1作を観てから25年がすぎた。20世紀の後半から21世紀の初頭にかけて足掛け2世紀にわたってこのシリーズを観てきたわけ。このシリーズ以外てこんなに長く楽しませてくれた映画は「寅さん」と「OO7」ぐらいだろう。
 シリーズの個々の作品1作1作については不溝な点もあり満足な点もある。また、読者諸賢におかれても色々とご意見もあるだろう。しかし、シリーズ全体を俯瞰すればたっぷりと楽しませてもらった、という小生の考えに同意くださる向きも多いだろう。
「SFは絵だ」という野田昌宏氏の名言があるが、このスターウォーズシリーズは、その「SFの絵」を十分に楽しまさせてくれた。とりあえず、ジョージ・ルーカスにはSFファンとして感謝しておく。最終的な評価は2005年のこのエッセイで。



(2002.8)

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