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とつぜんコラム No.18

雫石 鉄也


 会社を辞めて一カ月以上たった。こんなに長い間フリーの状態でいるのは初めての経験だ。阪神大震災の時に11日会社を休んだ記録があるが、今回は10月22日からだから38日(今日は11月28日)無職渡世でいることになる。しかも、この記録はまだまだ更新されそう。と、のんきなこともいっておれないわが家の経済状態だから早々にどこかに仕官する必要があるのだが。
 で、ヒマかと聞かれると、これで失業者も案外忙しい。健康保険や年金や失業保険やなんやかやで、区役所、社会保険事務所、ハローワーク、銀行などにたぴたぴ足を運ぱなくてはならない。それに前の会社が再就織支援会社と契約してくれたので(早期退職を承諾する条件)それの研修会にも参加しなくては。
 そもそも小生、税金、年金、保険なんぞといものはわずらわしくてよくわからなかった。それに役所、銀行なんかにやできるだけ足を踏み入れたくないタチだった。サラリーマンだったので会社が全部やってくれたわけ。それが個人で手続きを全部やらなくてはならない。あたりまえだが。で、Jスルーカードを買ってせっせと通っているがどこの窓日もきわめて親切に丁寧に優しく教えてくれる。こんなことに苦手な小生もおおむね理解できた。小生と同じ人種でこういう境遇になりそうで不安を感じている人、心配しなくてもいいですよ。しかるべき所で聞けぱいいんですから。別にホーキング博土みたいに宇宙の成り立ちを理解するわけではないんだから、人間がつくったもんは人間に間けぱわかります。あなたが人間ならぱね。
 とはいうものの会社員時代より自由時間は大幅に増えた。で、何をしているかといえぱ、読書、原稿書き、散歩をしている。読書は、現在失業者のため金欠病につき新刊を買えないので、世界SF全集など昔買った本を読み返している。図書館で借りれぱよいのだが、期限をきられて本を読むのがいやだからそれはしない。家での読書時間も増えたが、さっきいった役所の順番待ちの時間に結構本が読める。
 25年ぶりに「宣伝会議」を買った。広告業界の雑誌である。小生は昔コピーライターをやっていて、その時分は定期講読していた雑誌である。なんのために買ったかというと「宣伝会議賞」に応募するため。この賞「エンピツと紙だけで応募できる」というのが売り物の広告コピーのコンテストで、大量にヒマができた今25年ぶりにチャレンジしてみる気になった。久しぶりにせっせとコピーを書いた。それに来年度の星群ノベルズ用の原稿も書いている。経済的な理由でノベルズには参加できないが、一度てがけた作晶は必ず仕上げるべしと自分に命令しているのでなんとか筆を進めている。その他、標語、ネーミング、などの公募にせっせと応募している。
 浪人になって変化したことといえぱ、減量できたこと。車を手放したので移動は当然電車か歩き。それに毎日1時間の散歩を日課にしているのでそれも結構運動になっているのだろう。おかげでダイエットになり血圧も下がった。
 とまあ、こういう毎日をおくっているわけ。この状態がずうっと続いてくれればと思うが、そうもいっておれん。早々に収入の手段を考えなくては。




(2002.12)

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