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とつぜんコラム No.38

雫石 鉄也



 近鉄とオリックスの合併話に端を発して、プロ野球界はいま大騒ぎ。まったくシーズンが終わってからにすれば良いのに。これでは選手がかわいそう。とはいうものの外から眺めるぶんには、けっこうおもろい見ものである。
 経営側はまず1リーグありきで、そこに至る道を探っているのが本当の所だろう。12球団で唯一2リーグ体制維持を主張している阪神経営陣も発表された案を見るとセパ交流試合が多く実質1リーグである。小生も現在の日本のプロスポーツの市場ということを考えると12もプロ野球チームが有るのはちょっと多いかなと思う。で、市場原理が働いて市場の需要に見合った供給になろうとしている。しかしプロ野球という商売の特殊性を考えてもらいたい。
 大手のビール会社はアサヒ、キリン、サッポロ、サントリーの4社。例えばここでこのうち2社が合併して3社になったとしよう。すると消えた会社のビールが好きな人はビールを飲むのをやめるか、というとそうではない。ビール好きの人はビールを飲まなければいられない。消えた会社のビール好きは他のビールを飲むだろう。だからビール会社が減っても日本のビールファンは減らない。
 プロ野球は違う。プロ野球そのものが好きでどことどこの試合でも喜んで見るという人はいるだろうか。ま、おりまへんなそんな人。ひいきのチームがあってそれを応援するのが楽しみでプロ野球を見るのである。近鉄とオリックスが合併してそれぞれの球団のファン全員が新球団のファンになるだろうか。小数のファンはついていくが大多数のファンは離れるだろう。かくいう小生も阪神が無くなればプロ野球なんぞになんの興味も無い。つまり球団数の減少は市場のパイを小さくするだけ。もう一つプロ野球の特殊性がある。自動車業界では自動車会社1社で商売ができる。例えばトヨタ以外のメーカーがみんなつぶれて、日本の自動車会社がトヨタ1社になったとしても、トヨタは一向に困らない。トヨタ1社でも自動車業界で商売ができる。ところがプロ野球は自動車業界のようにはいかない。ナベツネのおっさんがいくらエラそうなことをいっても、巨人1チームでは商売ができない。
では、どうしたらいいか。まず各チームのファン。この人たちはいわばプロ野球の常連さんである。先ほどもいったようにプロ野球のファンとは各球団のファンといえる。どこの球団のファンでもないファンなんていないだろう。で、球団のファンとはその土地土地のファンといえるだろう。関西の巨人ファン東京の阪神ファンもいるが少数派である。で、もっと地域密着型のプロ野球にすればどうだろうか。こんなんでどうか。

西日本リーグ東日本リーグ
関西タイガース(関西)東京ジャイアンツ(関東)
名古屋ドラゴンズ(中部)千葉マリーンズ(関東)
広島カープ(中国)関東ライオンズ(関東)
四国ブルーウェーブ(四国)東北スワローズ(東北)
福岡ホークス(九州)横浜ベイスターズ(関東)
大阪バッファローズ(関西)北海道ファイターズ(北海道)

 と、いう2リーグでどうでっしゃろか。これで日本全国のファンをカバーできますやろ。
 

(2004.8)

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