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とつぜんコラム No.42

雫石 鉄也



 小生が始めて買ったコンピュータはNECのPC8801MKU−SR。だからかなり昔のことである。パソコンユーザーとしては年季が入っているほうではないだろうか。ところが小生を知る人は、あいつそのわりにはパソコン初心者だな、とお思いでしょう。その通り。小生は初心者である。Windowsパソコンは去年の6月から、インターネットを始めたのは今年7月からである。では、PC8801MKU−SRを何に使っていたかというと、ワープロとゲームに使っていた。ゲームはよくやった。「ハイドライドシリーズ」「ザナドゥ」「大戦略シリーズ」「信長の野望シリーズ」などに熱中した。ワープロは「ユーカラ」「JAT8801」「春望」など。なつかしい。
 ようするに遊び以外ではワープロ機として使っていた。当時私は星群の連絡人をやっていてその事務処理に少し使ったかな。で、ワープロにしか使わないのだから専用機を買ってやれとNEC文豪Mini5を買った。これがいけなかった。16ビット機のPC9801にしたら、と助言をくれた友人もいたが、いまから思うとあの助言を聞いていたらよかったと思う、岡本さん。もしあの時文豪ではなくPC9801を買っていたらWindowsパソコンの流れに乗っていてインターネットの世界にももっと早く接していたかもしれない。それでも文豪は10年使った。ワープロ機としては大変使いやすく愛用していた。しかしワープロ専用機の商品としての寿命は10年だった。ご承知のとおり、Windowsパソコンと入れ替わるように市場から姿を消した。いまは中古屋を丹念に探すしか入手の術はない。
 小生は絶滅する道に足を踏み入れたわけ。実はビデオの時もこれと同じ過ちをしている。SONYのベータマックスが発売されてすぐ飛びついてしまった。その呪いが未だに解けない。テープのコレクションのほとんどはベータ。そのテープを再生する専用のベータの機械がまだ我が家にある。通常使用にVHS機がもう1台。狭い家でなんともスペースがもったいない。いずれDVDを買おうと考えているがBlu−rayDVDかHD−DVDかよく見極めなくてはならない。
 小生も犠牲者の一人だが、負け組になった人の救済策をメーカーは考えてもらいたい。別に負け組でなくてもソフトはハードの進歩にどんどん取り残されていく。ソフトとハードは車の両輪であるべきで車そのものは進歩してどんどん進んでいく。で、取り残されたソフトはあちこちで死蔵されているわけ。ハードは金で買えるがソフトは金で買えなくて、無くなれば二度と手に入らない貴重なものが多い。弟の結婚式の記録テープはベータだがこれに父が映っている。亡くなった父が動き、しゃべっている姿はこのテープが無くなれば二度と見られない。
 フィルムの8ミリ映画・LPレコード・ベータのビデオテープ・8ミリビデオ・8インチのFD・レーザーディスク・オープンリールの録音テープ・文豪書院オアシスなどのワープロ専用機の文書FD・PC88やPC98のソフト・MSXパソコンのソフト。これらのソフトはあちこちの押入れで眠っているに違いない。本来はソフトを持っている人がいる限りハードを供給するのがメーカーの責任だと思うのだが。3.5FDやVHSビデオテープ、カセット音楽テープもそのうち同じ運命をたどるだろう。膨大な量の情報が眠っている。なんとももったいない話だ。
 
 
 

(2004.12)

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