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とつぜんコラム No.43

雫石 鉄也




 2005年になった。昨年2004年は小生にとって決して良い年ではなかった。2002年に24年勤めた会社をリストラで辞め、半年間の求職活動で契約社員の口を見つけたが9ヶ月で契約終了。また半年間の求職活動で今の会社に10月に就職したが新年早々に辞める事になった。どうも巡り合わせが悪いみたい。
 で、今も求職活動を一生懸命展開しているが苦戦している。55歳という小生の年齢が最大のネックだ。本来は年齢を選考基準に入れてはいけないのだが、そんなものを守っている企業はない。罰則の無いお達しなんて全く無意味の典型。厚生労働省あたりは若年層の求職難を重要に考えているふしがあるが、中高年の再就職も忘れないでもらいたい。企業がリストラをやる時は40代から50代が対象。ところが年金支給は今の所60から。この間どうして食ってけというのだ。小生のような中小企業の平で退職した者は、早期退職制度の割り増しがついても退職金だけで年金支給年齢まで生活するのは不可能だ。
 欧米の企業は株主大切、日本の企業は従業員大切、と、いわれてきたが間違いである。日本の企業は経営者大切が正解。会社の経営を傾けた責任者はぬくぬくと会社に居残り、誠実に勤務してきた従業員を切り捨てる。リストラされ求職活動していて企業の身勝手さがよくわかる。元気で有能で、あれもでき、これもでき、残業手当のつかない残業でも喜んでやり、あそこへ転勤「はい」こっちへ転勤「はい」大きな利益を会社にもたらし、みんなの模範となり、経営者のいうことを完全に理解し忠実に実行する。で、月給が20万円以下。人手が余っていることをいいことに、企業のいいたい放題わがまま放題。特に中高年のリストラおとうさんたちはいいようにあしらわれている。雇ってやれば頭から小便をかけられても、へいへいと機嫌よく働くと思っている。代わりはいくらでもおるぞ。気に食わんかったら辞めてくれ。
 日本国憲法第3章第11条に「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない」第13条に「すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする」と書いてある。中高年の再就職難はある意味憲法違反ではないだろうか。基本的人権の定義にもよるがただ生存さえしていればOKというのであれば、現代の日本社会では生きていくことだけはできる。しかし生きているだけで基本的人権が保障されたといえるのだろうか。50をすぎて何の芸も特技も技術もなく、特に有能でもないおじさんは、憲法でいう「国民」の中に入っていないらしい。
 新年早々こんなイヤごとをいいたくなかったのだが、妻子をかかえながら求職活動をしている者の正直な本音だ。「企業」なるものに頼らず生きていく方法はないのだろうか。とは、いうもののどこかの企業にもぐり込まなくては生きていけない。明日からも「私は貴社のお役に立ちますよ」といいながらニコニコ顔で面接に行かなくては。
 
 
 

(2005.1)

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