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とつぜんコラム No.48

雫石 鉄也




 昔はよく見かけたけど、最近あまりお目にかからなくなったものが色々ある。映画テレビの世界では西部劇がそれ。西部劇を観たいと思っても旧作のビデオかDVDを観るしか手段はない。新作を観たいと思っても原産国のアメリカで作られていない。作られているか知れないけど小生は不勉強で知らない。記憶を掘り起こしてみても一番最近に映画館で見た西部劇はクリント・イーストウッドの「許されざる者」1992年の作品。もう13年も前だ。西部劇が大好きな小生としては禁断症状に苦しんでいる。で、少しでも苦しみを和らげるために古いビデオテープを引っ張り出して飢えをしのいでいる。そこで小生の考える西部劇ベスト5を選んでみた。順不同。

プロフェショナル
監督リチャード・ブルックス 出演リー・マービン、バート・ランカスター、ロバート・ライアン、ウッディ・ストロード

メキシコの革命軍に誘拐された牧場主の妻を救う仕事を4人のプロが請合った。銃器、爆破、馬、弓矢のプロだ。4人のプロがかっこいい。冒険小説西部劇。

荒野の7人
監督ジョン・スタージェス 出演ユル・ブリンナー、スティーブ・マックィーン、ジェームス・コバーン、チャールス・ブロンソン

原作の黒沢の「7人の侍」も好きだが、小生はこの作品も大好き。7人のみなさん、まだ若く生き生きしていらっしゃる。7人の中でまだご存命はロバート・ボーンぐらいかな。月日は流れる。

黄色いリボン
監督ジョン・フォード 出演ジョン・ウェイン、ビクター・マクラグレン

フォード+ウェインのジョンジョン西部劇を見逃すわけにはいかん。「駅馬車」かこれかずいぶん迷ったが、こっちのウェインの方が良いのでこれにした。ウェインの老け役が実に良い。ジョンジョン西部劇のお約束事、酒場の殴りあいもちゃんとある。

夕陽のガンマン
監督セルジオ・レオーネ 出演クリント・イーストウッド、リー・バン・クリーフ、ジャン・マリア・ボロンテ 

正統派西部劇ファンの中にはマカロニウエスタンというと眉をひそめるムキもおられるが、エンタティメントに徹した西部劇という点ではマカロニウエスタンを見逃せない。レオーネ+イーストウッドで3本あるがこれが一番。悪役のリー・バン・クリーフが実にかっこいい。ラストのオルゴールを鳴らしながらの決闘シーンは秀逸。

ワイルド・バンチ
監督サム・ペキンパー 出演ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ウォーレン・オーツ、ロバート・ライアン

も、最高。男の美学とはこれだ。荒々しい「西部」が消え行く20世紀初頭。最後のならず者の決して若くないおじさんたちが死を賭して殴り込む。昔の東映任侠映画とも通ずるナニワ節。哀愁と詩情さえ漂う。消え行くものの美学。新撰組が好きな人にお勧め。ラストの大銃撃戦は映画史に残るだろう。 
 

(2005.6)

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