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とつぜんコラム No.52

雫石 鉄也




 阪神タイガースが優勝した。全国の虎ファンにおかれましてはまことにご同慶の至りでありまして、これほどめでたいことはない。親会社の阪神電鉄の株買占められの件があるが、ま、それはそれとして。これで小生は1985年、2003年そして今年と3度の阪神優勝を目撃したことになる。阪神優勝は20年に一度といわれていたから、おととしの優勝の時は、ああ、これで生きている間にもう一度見られるかなと思っていたが、それがこんなに早く実現するとは嬉しい誤算というやつ。
 今年の阪神の勝因はいろいろある。金本の活躍。今岡の打点の荒稼ぎ。赤星の足など。でもやはり巷間いわれているようにFJK(藤川、ウィリアムス、久保田)の存在が大きい。野球は普通9回ずつ攻撃できる。これは当然両チーム同じ。ところが今年の阪神相手に試合をするチームは6回までしか攻撃できない。7回からはJFKが出てきてほぼ完璧に相手の攻撃を封じてしまう。これでは阪神が強いのもあたりまえ。やはり野球は投手力か。投手力の整備を怠った広島と巨人が下位に低迷するのは当然だ。
 小生阪神の優勝を3回経験したが3回ともそれぞれ強さが違うから面白い。85年はバース、掛布、岡田、真弓らがガンガンホームランを打って打ち勝つ野球。まことに痛快。少々点差をつけられていても安心して見ていられた。必ず逆転してくれる。03年はクリーンナップが二つあるといわれていた。上位から下位まで打線がよく打ち「つなぎ」の野球。そして今回はJFKに代表されるように投手力で勝ち取った優勝といえるだろう。20年のあいだに3回の優勝を体験させてくれたわけ。それもいろいろな楽しませ方で。まったく阪神ファンになってよかったと思う。全く優勝しないというのはもちろん面白くない。かといってV9時代の巨人や、かっての西武のようにのべつまくなしに優勝しても感激が薄れて面白くない。阪神ぐらいの頻度で優勝するのがちょうどいいかな。とはいうものの85年から03年のように18年はあきすぎ。今年のように2年ぶりというのは短すぎ。オリンピックのように4年に1度ぐらいが理想ではないだろうか。
 今年は交流戦も始まったりして、プロ野球改革元年といわれている。ところがTVのナイターの視聴率が落ち込むなどプロ野球の人気の低迷に歯止めがかからないらしい。しかしこれは巨人のTV視聴率と観客動員数が落ちただけではないか。小生たち関西の阪神ファンにとってはプロ野球人気は全然落ちていない。小生、阪神の試合しか見ないが、見る試合見る試合いつも球場はいっぱい。巨人の人気=プロ野球の人気、と勘違いしているだけだ。このまま阪神が常勝球団となって球界の新盟主となって、遠い将来阪神の人気が低迷しても小生たち阪神ファンはプロ野球の人気が落ちたとはいわない。阪神ファンは長い長い暗黒時代を経験している。V9を経験した巨人ファンとは違う。阪神ファンは巨人ファンより少しばかり複雑なのだ。
 
 

(2005.10)

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